一般社団法人薬局支援協会・代表理事で現役の薬剤師でもある竹中孝行さんが、お子さんや自分の薬に関する困ったこと、悩んでいることに対してお答えします。

期限切れの薬を飲むと身体に悪影響を及ぼすことも

病院で処方される薬や市販で購入できる薬にも使用期限があります。薬が認可される前に、様々な条件下で薬の品質に影響がないのか調べる安定性試験というものが行われ、その結果に応じて、保管条件や使用期限が設定されます。

 

薬の種類によって使用期限は様々で、短いものだと1年、大抵の薬の場合は3-5年になります。ただし、この期限は薬の開封前、正しい保管条件で保管された場合の期限です。

 

市販薬の場合は、箱などパッケージに記載されていますが、処方薬の場合には記載されていないこともあります。気になる場合には、薬を受け取る際に薬局で聞くこともできます。処方薬は、原則、処方された日数分を期限として飲みきることが前提となります。そのときの症状に合わせた薬が処方されているためです。

 

では、家に眠っていた期限が過ぎているような古い薬を飲むとどのような影響があるのでしょうか。使用期限が過ぎた薬は、品質の保証ができません。本来ある薬の効果がなくなっていたり、身体に悪影響が出ることもあります。後者の例としては、次のようなことがあります。

目薬…雑菌が混入し、増殖している恐れがあり、充血や感染症を起こす可能性あり
液体の飲み薬…細菌が繁殖しており、感染症を引き起こす可能性あり

 

もし、古い薬を気づかず使用してしまった場合には、体調に異変がないか、しばらく様子を見ること。万が一、体調変化を感じた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

正しい「保管方法」や薬の「捨て方」って?

基本的な保管方法としては、高温、多湿、直射日光を避けることです。特別な指示がない限り、冷蔵室に保管する必要はありませんが、日光がはいる窓際を避けたり、夏場に車の中に置いたりしないなど注意が必要です。

 

一方、冷所や暗所保存の指示があった場合には、必ず守るようにしてください。目薬やシロップ薬、坐薬、インスリン製剤などがあります。

 

目薬やシロップ薬など、一度開封した薬は短期間で使い切るようにしてください。雑菌が混入し、感染のリスクがありますので長期で保管はできません。

 

薬を捨てるときは、一般ゴミの廃棄と原則的に一緒です。薬と包装シートなど分類できるものはそれぞれ別にして、お住まいの地域の分別・収集方法に従って下さい。特殊な薬や不安な場合には、薬局に持参して処分してもらうようにして下さい。

 

※専門的な知識に基づき解説をしています。ただし、例外もあり、個別のケースは必ずかかりつけ医や薬剤師にご相談下さい。

文/竹中孝行