週末に親子で公園へお出かけして、久しぶりにパパに思いっきり子どもたちと遊んでもらおうと思ったら、5分もしないうちに「ママー!」と戻ってくる子どもたち。

 

見るとパパはスマホ片手にベンチでポツン…どうやらパパの遊び方が楽しくなかったようです。

 

周りには楽しそうに親子で走り回っているパパもたくさんいるのに…と少しがっかり。度重なるとイライラしてしまいますよね。

 

子どもと遊ぶのが下手なのは、生まれつきだから仕方ない?それともやる気の問題?

 

現役で子育て中のママ&パパの声もまじえて考えてみたいと思います。

子どもと遊ぶのが得意なパパばかりではない

休日に大きな公園に行くと、つい元気に子供と遊んでいるパパに目が行きがちですが、世の中、子供と遊ぶのが得意な人ばかりではありませんよね。

 

よく見れば、すべてのパパが子どもと全身を使って大はしゃぎして楽しませているわけではないことに気づくと思います。

 

スポーツが得意・歌が上手・服のセンスがいい・手先が器用…など他のあらゆることと同じで、男女にかかわらず、生まれ持った性質や得意は人それぞれ。

 

「子どもと遊ぶ」も、数ある特技のうちの1つに過ぎないと言えるかもしれません。

 

ただ、ママはほとんどの場合、内心(苦手だな)と思いつつもそれなりに子どもが満足するまで遊んでいるのに対し、そうでないパパの比率が高いように感じます。

 

「うちのパパは子どもとちっとも遊べない…」というときに考えられる理由としては、次のようなものがあります。

そもそも関心が低い

筆者は仕事柄たくさんのママ・パパに話を聞いてきましたが、独身時代と大きく認識が変わったことの1つに「子どもがいる人=子ども好き、ではない」という事実があります。

 

といってももちろん「わが子が嫌い、愛していない」ということではなく深い愛情を注いでいる人が大半ですが、一般的な「子ども好き」のママ・パパは思ったより少ないというのが実感です。

 

もともと子ども好きなら、1つ1つの行動や反応が面白くかわいくてたまらないので、長時間公園で遊ぶのも苦にならないかもしれませんが、そうでない人が長時間子どもに付き合うのは正直疲れるもの。

 

男女ともに、もともと子どもは苦手だった人が誕生後子どもと触れあうことで180度変わって子煩悩になるケースも多いですが、パパの場合は仕事が忙しくて子どものかわいさに目覚める機会がなく、結局ママ任せできてしまう…ということもあります。

関心はあるが接し方が分からない

いっぽう、関心は十分あるものの、1対1で「さあ遊ぼう」となると接し方が分からない…というパパも。

 

新生児から密着して育てているママからすると、まだ言葉が話せなくても子どもの思考回路や行動パターンはある程度分かりますが、触れあうのが週末だけというパパにとっては、子どもを「かわいい」とは思っていても、具体的な接し方や関わり方が分からないことがあります。

 

また、自分自身が幼児期にあまり父親に遊んでもらったことがなかったり、忘れてしまっていて、遊び方がイメージできない人もいます。

 

「子どもの頃もっと遊んで欲しかったから、子どもに同じ思いをさせたくない」と反面教師にできればいいのですが、父親はそういうものだと思ってしまうと特に努力しないかもしれません。

 

さらに、一度は遊んでみたものの、年齢や子どもの性格に合わせた加減が分からず、泣かせてしまった…というパパも意外と多いもの。

 

また泣かせるのが心配で、遊びから遠のいてしまうパターンもあります。

単純に恥ずかしい

パパの性格にもっとも左右されるのが、おままごとや戦いごっこなど、役を演じなくてはいけないタイプの遊び。

 

上記のような「ごっご遊び」「見立て遊び」は子どもの発達には欠かせないものですが、やはり、子どもと同じテンションで悪役やヒーローになりきって演技をするのは恥ずかしいというパパは多いでしょう。

 

公園などで他人の目がある時は言うまでもなく、中にはママに見られるだけでも気になってしまうパパもいるようです。

子ども特有の遊び方が苦手

育児経験者には「あるある」だと思いますが、子どもは気に入った遊びを何回も何回も繰り返す時期があります。

 

発達心理学では「仮説と検証を繰り返している」ともいわれ、成長に必要なことでもありますが、結果が分かりきっている大人からすると苦痛に感じることもあるでしょう。

 

また、勝負事に負けそうになるとかんしゃくを起こす子もいます。

 

パパが本気で対決して泣かせるのも、手加減して勝たせるのも、どちらも間違いではなく、子どもにとってはそのあとどうするかを学ぶ貴重な機会です。

 

ただ「仕事で疲れているのにまた神経を使いたくない…」とそれを苦痛に感じるパパもいるようです。

 

そのほか、自分自身に姉妹のいなかったパパは、シールを集めて見せ合う・ドレスの絵を描くなど女の子の好みがちな遊びにどう付き合えばいいのか分からないこともあります。

赤ちゃんや幼児とパパが上手に遊ぶ方法

多くのママは、数ヶ月以上の育休を取得し、24時間子どもと一緒の時間を過ごします。

 

まだ話せない赤ちゃんや幼児が相手でも、一緒にいる時間が長ければ、何をすると喜ぶのか、苦手なことは何か…といったその子の個性が自然に分かってくるもの。

 

しかし、男性は、日本ではまだまだ長期の育休が取れる人が圧倒的に少ないのが現状です。

 

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言葉を話せない子どもと突然ママ抜きで遊ぼうとしても、いったい何を喜ぶのか分からない…というパパは多いことと思います。

 

そこで、赤ちゃんから3~4歳のお子さんを育てているママ・パパたちに、どうやってパパが子どもと遊んでいるのかを聞いてみました。

 

「産後初めて私が1人で美容院に行くことに。夫には、いきなり遊ぶといってもハードルが高そうなので、まずは思い切りハードルを下げ、危なくないように見ていればOKと伝えました」(Tさん・29歳・0歳児のママ)

 

「私は、支援センターで覚えた手遊びなど色々レパートリーがありますが、夫の場合は休みの日しか時間がとれないので基本散歩でOK!としてます。オプションで葉っぱや木の実を拾ったり、電車や消防車を見に行ったり…子どもはそれで十分楽しいと思います」(Kさん・32歳・1歳児のママ)

 

「外出できないときは、パパが馬になって、おなかの下をくぐり抜けたり、背中に上ったり。私が妊娠中でハードな動きができないので、子どもは大喜びしてます」(Fさん・34歳・2歳児のママ)

 

「僕の場合は、公園の遊具でも、工作やおもちゃでも、まず親が楽しそうにやっているところを見せて、興味を持つのを待ちます。やり始めたらできるだけ口出し・手出しをしないで、下手でもめちゃくちゃでも取り組んだことをほめるという感じ。これだと1時間でも遊んでいられます」(Aさん・35歳・3歳児のパパ)

パパが子どもと遊ぶときに気をつけること

パパが子どもと遊ぶときにはまってしまいがちな落とし穴もあります。

見てほしいだけなのに…

「パパ、○○で遊ぼう」といわれ、道具の使い方が下手だったので教えると子どもが機嫌をそこねてしまった…そんなとき、子どもは、自分のお気に入りの遊びや自分の世界をパパにも見せたいという気持ちでいます。

 

アドバイスは少しだけこらえて、まずはいったん気が済むまで見てあげたほうがベター。

ルール違反には目くじらを立てないで

子どもがかくれんぼでズルをする、サイコロの目をごまかす、パパが作りかけているブロックのパーツを横取りするなどのルール違反をすることもあります。

 

本人のためにここでしっかり叱らないと…思うかもしれませんが、正面から叱るばかりでなく、本当はこうするんだよ、と伝えるだけでいい場合も多々あります。

 

保育園ではズルばかりする子は遊んでもらえないなど、子どもは意外と厳しい社会で生きていたりします。

結果を求めない

仕事で結果を出しているパパが無意識にやってしまいがちなのが、目標を設定してクリアさせようとすること。

 

「あの遊具の一番上まで上ってみるか!」「うん!」と盛り上がっても、できない時は無理強いする必要はありません。

 

遊びの中で、あえて目標をあげるとすれば「この瞬間を楽しむこと」「子供と同じ時間を過ごすこと」が一番です。

小学生からは遊びが苦手なパパの出番かも?

男性は、会話ができる年の子どもの方がやりとりしやすいという人も多くいます。

 

5歳を過ぎてくると、トランプやボードゲーム・アニメやゲームなど、パパが子ども時代に経験した遊びを通じて共通の話題ができたり、小学校からはスポーツ・楽器・釣り・家庭菜園など、親子で同じ趣味を楽しめるようになってきたりします。

 

無口なパパなら、ブロック作りや段ボールで家を作るなど、モノづくりで尊敬されるというケースも。

 

小さいうちは「パパは何をいってもダメだから…」とあきらめてしまいたくなる時もあるかもしれません。

 

それでも、できるだけパパには子どもの成長や好きなことを伝え続けていれば、どこかで遊びのレベルが合う日がくるのではないでしょうか。

パパと子どもで楽しめる遊びを増やしていこう

小さい頃に父親と子どもがどんな風に過ごしたかによって、思春期以降の親子関係を大きく左右するといわれています。

 

といっても、理想を高くする必要はなく、子どものやりたいことや好きなことにパパが肯定的でいてくれるだけで十分効果的です。

 

SNSや近所の子煩悩パパと比べて落ち込まず、スモールステップでパパと子どもができる遊びを増やしていけるといいですね。

 

文/高谷みえこ