『日々猫だらけ ときどき小鳥』表紙

 

—— あさのさんが猫を飼い始めたのは、 “おもち”に出会ったのがきっかけですよね?

 

あさのさん 

子どもの頃は犬を飼っていましたが、猫と暮らし始めたのは“おもち”からですね。もともと生き物は好きでしたが、猫は特別ですね。説明するのは難しいけれど、心の中の特別な場所に“すん”と入ってくる感じが好きですね。

 

宮下さん 

撫でているだけで幸せになりますよね、動物って。よく子どもが産まれると愛情のかけ方やバランスの話になるけれど、私は愛情は増えていくものと思っています。3人に増えれば3人分、我が家にはそこに末っ子の犬がやって来たわけですが、かける愛情は4人分に増えました。理由なんてなくて、ただそう感じますね。

 

あさのさん 

人間とは違う生き物だけど、繋がっている不思議な感じがします。

 

宮下さん 

うちの犬はあまりお利口さんではないけれど、どこかで分かり合えているのだけはわかります。信頼して身を預けてくれいる。本当に根源的なところで、原始的な気持ちを伝え合っているというのは感じています。

 

—— 言葉じゃなくても伝わる感じですね。

 

宮下さん 

伝わるといえば、作中の「あの子のかけら」の表現がとても好きです。ちょびが机をカリカリするのは、他の子を通じてひよりちゃんから繋がって来ているというエピソード。本当にすごいなって。人間だと言葉もあるから、ストレートに伝えることもできる。猫だから当然同じ言葉は話さないけれど、他の子から受け継がれて繋がって伝えることができるなんて。今話していても泣きそうになります。それを文章で表現したあさのさん、すごいと思います。

 

 

取材・文/タナカシノブ