エッセイが出来上がるまでを振り返るあさのさん

 

—— お互いの作品がとても好きな様子が伝わるエピソードを伺ったところで、今回のあさのさんの新作『日々猫だらけ ときどき小鳥』はいかがでしたか?

 

宮下さん 

とても繊細で愛情深い、家族を愛している様子が伝わってくる素敵な作品だと思いました。これまでもエッセイも読んでいたし、文章がとてもうまいことも知っていましたが、今回特に感じたのは、大事なものに対する言葉の選び方がすごく良いというところ。またあさのさんを好きになる人が増えるに違いないって思いました。この本を出してくれたことが素直にうれしかったです。と同時に思ったのは「この表紙(写真)で良かったの?」ってことですが……(笑)

 

あさのさん 

あははは。表紙用の写真の候補を送ってくださいと言われて、1ヶ月くらいかけて厳選しました。毎日猫の写真を撮影しているので、全部で3万枚くらいデータがあって。そこから100枚まで絞った中から、選んでもらいました。本来なら4匹と2羽が集合している写真が良かったのですが、猫の習性上、みんなが枠の中に揃った写真を撮るなんて不可能に近いんです。ということで、この寝落ち寸前の顔が選ばれました。

 

冒頭から泣きっぱなしだったと語る宮下さん

 

宮下さん 

4匹と2羽、あさのさんと旦那さんすべてが入った写真は、後付の次にという最高にいい場所に出て来ますよね。本当に大事な家族の写真という感じで、すごく好きです。

 

あさのさん 

猫のトイレが写っていたり、背中を向けてる子がいたりで、プライベート感満載すぎる一枚なんですが、エッセイを読んだ後に見たいと思ってくれる方もいるんじゃないかなと思ってここに載せることにしました。

 

宮下さん 

絶妙でした。見たいと思ってページをめくったら出て来てくれたので。うるっとしちゃいました。私の場合は、冒頭から泣いてしまっていましたが……。

 

あさのさん 

ありがとうございます。本当にうれしいコメントばかりで、恐縮しちゃいます。

宮下さん 

冒頭の出会いのシーンに運命を感じました。なるべくして家族になったんだなって。「ご縁があったんだよ」というところなんて最高ですよね。

 

—— 旦那さんの優しい言葉がいつもいいところで登場して素敵ですよね。

 

宮下さん 

いいところで、いいことを言うんですよね。この本はずっと泣きながら読んでいたのですが、旦那さんが出てくるとより涙が溢れてしまう。あさのさんと旦那さんの愛情があまりにも深すぎて。うちには犬がいて、我が家の末っ子だと思うほど大好きで可愛いのですが、あさのさんのお家の猫ちゃんたちと比べたら、なんと単純というか(笑)。人の心の機微を読まずに、思いっきりぶつかってくる感じなんです。そこも含めて愛しいんですけどね。