夫の暴言、暴力などのDV被害を受けて苦しんでいる女性はたくさんいます。そんな彼女たちの多くは、「夫からはどうやっても離れられない」と諦めてしまうこともあるようです。今回は、様々なサポートを利用して、夫のDVから逃げ切った方の体験談を紹介します。
弁護士に相談して留守中に引っ越し(ゆみさん/25歳/事務)
つき合っているころから、夫は喧嘩っ早い性格でした。当時から、怒ると乱暴な言葉を使ったりしましたが、仲直りするとまた優しくなっていたので、私も許してしまっていたんです。 でも結婚してから、暴れる頻度が以前よりも増えました。家族になったことで、遠慮がなくなったんだと思います。気に入らないことがあると、娘の前でも私に暴言を吐いたり蹴ったり。 逆らうと夫の感情はさらに高ぶり、怒りはエスカレート。大きな声を出すから娘が泣いてしまって。娘の姿に胸がきゅーっと締めつけられて本当につらかったです。 しばらくは、機嫌を損なわないようすぐに謝るようにしていましたが、やっぱり夫がキレることは止められなかったので、娘の為にも「もう夫からは離れよう」と強く願うようになりました。 友人に相談したところ、無料で法的な相談をできる「法テラス」という窓口を教えてくれました。すぐに相談をし、弁護士に担当してもらうことに。 そして指導のもと、夫がいない隙に引っ越し、そのまま離婚。引っ越しをするまでハラハラして、生きた心地がしませんでしたが、何としても夫から逃げたかったので無我夢中でがんばりました。
シェルターに駆け込んで、夫に会うことなく離婚(ひとみさん/30歳/介護士)
夫は腹が立つことがあるとすぐに手をあげてきます。拳で殴ってくるので流血したこともしょっちゅうです。嫉妬心がすごく、男友だちから年賀状がきただけでも「なんだよこれ」などと怒鳴りつけられ、思いっきり殴られたこともありました。 でも、「暴力を振るわれるのは、私も悪いからだ」とずっと思っていました。というのも、結婚前に一度、別れようと思ったことがありまして、そのとき私は他の男性と関係を持ってしまったんです。 そのことが後に夫にバレたのですが、暴力を振るうたびにその話を持ち出してくるんです。その話をされると「私も悪いことをしたから仕方ないな…」と思ってしまっていたんですよね。 でも、ある日「このまま一生、我慢して暮らすのはもう無理だ」と、張りつめていた何かがプツンと切れてしまいました。 勇気を出して、行政の相談窓口に行ったところ「DVシェルター」を紹介してもらい、すぐにお世話になることに。お金はかかりますが、弁護士も立てました。 そのおかげで、夫と顔を合わせることなく、なんとか離婚が成立。シェルターに逃げ込んでも、「夫に見つかったらどうしよう」としばらく怖かったです。 でも、がんばってよかった。いまでは穏やかな気持ちで暮らすことができています。
両親に相談して離婚に踏み出せた(やよいさん/28歳/看護師)
夫は子どもっぽいところがあり、自分が嫌なことは我慢できない性格でした。そのため仕事もすぐに辞めてしまい、職を転々としていたんです。 私が働いていたのでなんとか生活できていましたが、だらだら生活している夫を見てストレスが溜まりました。「自分は仕事も育児もしているのに、ふざけんなよ」っていう気持ちになっていって…。 夫とはだんだん喧嘩が増えていきました。初めは口論だったのですが、いつからか夫が私に手をあげるようになっていったんです。暴力は次第にエスカレートし、喧嘩をしたときに怒り狂って首を絞めてきて…そのとき初めて、身の危険を感じました。 3人の子どものためにも父親がいた方がいいと、離婚を踏みとどまっていたのですが、夫は子どもにも少しずつ暴力をふるうようになってきたんです。子どもに手をあげるようになり、我慢の限界を迎えました。 いままで夫の暴力は身内には隠していましたが、自分の両親に相談しました。父も母も「すぐに離婚しなさい」と言って、離婚の手続きを始めました。勇気を出して、自分の両親に相談してよかったと思っています。
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文:ツマ