加齢とともに女性ホルモンが減少し、デリケートゾーンにトラブルが起こることは広く知られるようになりましたが、意外と知られていないのが「GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)」です。 閉経を迎える4555歳以上の女性の2人に1人がかかるといわれるこの疾患について、女性泌尿器科医で日本のGSM治療の第一人者でもある関口由紀先生にお話を伺いました。

 

 

<取材協力>関口由紀先生 
女性泌尿器科専門医、女性医療クリニックLUNAグループ理事長。横浜市立大学医学部泌尿器科客員教授。世界標準の女性医療をめざし、女性医療クリニックLUNAグループを展開。女性泌尿器科、女性内科、婦人科、乳腺外科、美容皮膚科と、幅広い診療科を設けている。女性の性機能、性の悩みも専門とし、FSD(女性性機能障害)外来も開設。

 

「GSM」が疑われる3大徴候

 

「GSMは、加齢とともに女性ホルモン(エストロゲン)が減ることで起こります。つまり女性なら誰でもかかる可能性がある、ごく身近な疾患です。

〝閉経関連尿路生殖器症候群〟という名前からもわかるように、症状は生殖器がかかわるセックスのトラブルだけではありません。

尿路にかかわる排尿のトラブルも含まれているのが特徴です」と、関口先生。 典型的な3大徴候でわかる疾患で、以下のいずれかひとつでもあてはまれば、GSMとされます。

 

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1.デリケートゾーンが痒い

外陰部全体が痒くなったりイガイガしたり、灼熱感が生じることもあります。指で軽く引っぱっても包皮がむけなくなる「クリトリス包茎」もGSMのサインです。


局所的な変化としては、膣口の左右にあるヒダ

(小陰唇)が萎縮し、肛門側が短くなるのも特徴。この部分が痛かったり、色が白く抜けていたり赤くなっている場合も、GSMと考えられます。

小陰唇の両サイドにある大陰唇からは、ふっくらとした厚みやハリが損なわれ、同じく萎縮します。外陰部が萎縮してハリがなくなり、さらに色が変わったりすることも。

 

2.排尿のトラブルがある

尿の出口である「尿道口」は、常にしっとりしていて縦に締まっているのが正常な状態。尿道口が丸く開いていたり、赤い粘膜がのぞいているときには、GSMと考えられます。


尿道口がこのように変化すると、尿もれ、頻尿・尿意切迫感、排尿困難感

(すっきり出ない)や、再発性膀胱炎が起こることがあります。

 

3.セックスのとき痛みがある

それまでは問題なくセックスできていたのに、「最近、痛いなあ」と感じるのが特徴。


人さし指の第二関節までを膣に入れて膣壁の状態を確かめたとき、膣入口付近が硬くなってふれると痛いという場合には、GSMのサインです。