2019年度のパ・リーグは西武ライオンズの劇的な2連覇で決着がつきました。ところで、西武ライオンズはみなさん知っているとおり西武鉄道です。プロ野球と鉄道はどのような関連があるのでしょうか。少しだけ調べてみましょう。

球団創立約40年で23回のパ・リーグ制覇の西武ライオンズ

ますはパ・リーグを制覇した西武から。西武ライオンズの正式名称は「埼玉西武ライオンズ」といい、埼玉県所沢市にあるメットライフドーム(西武ドーム)を本拠地としています。西武ドームの最寄駅は山口線・狭山線の西武球場前駅。山口線は西武遊園地へと向かう新交通システム・レオライナーです。一方、狭山線は西所沢で池袋線に接続します。平日昼間は15分間隔で運行される狭山線ですが、試合がある日は池袋・西武新宿~西武球場前間を中心に様々な臨時列車が運行されます。

 

さて、西武ライオンズが設立されたのは意外と新しく1978年(昭和53年)のこと。前身は福岡を本拠地としていた西鉄ライオンズです。ちなみに西鉄ライオンズの親会社は鉄道会社、西日本鉄道です。西鉄ライオンズは強かったですが、「黒い霧事件」と呼ばれるスキャンダルで失墜。1970年代には親会社、経営母体、スポンサーがコロコロ変わりました。

 

西武ライオンズになり、1980年代中頃~1990年代中頃にかけて黄金時代を迎えます。清原、秋山、デストラーデ、郭泰源、工藤といった名選手が大活躍しました。2018年度に引き続き2019年度もパ・リーグ制覇。再び黄金時代を迎えたと言ってもいいでしょう。

関西の人気球団、阪神タイガース

一方、セ・リーグ、関西といえば阪神タイガースですね。阪神タイガースの親会社は言わずと知れた阪神電気鉄道です。よく阪神タイガースを「大阪の球団」と勘違いする人が多いですが、本拠地としている阪神甲子園球場は兵庫県西宮市にあります。しかし勘違いするのも無理はありません。阪神タイガースは1935年(昭和10年)に「大阪タイガース」という名で誕生しました。「阪神タイガース」という球団名になったのは1961年(昭和36年)のことです。

 

阪神甲子園球場の最寄駅である甲子園駅では駅員が見事な判断力で試合後の臨時列車をさばいています。そのテクニックはテレビにも登場するほど。また阪神本線の大阪梅田駅には試合開催日に使われる大阪梅田~甲子園間の往復専用自動販売機もあります。

 

読売巨人軍の次に長い歴史を持つ阪神タイガース。阪神電車もタイガースと共に歩んでいることがわかるエピソードですね。

阪急、近鉄、南海・・・電鉄リーグだった関西

 

1980年末まで(近鉄は2004年まで)阪急、近鉄、南海も野球チームを持っていました。阪急、近鉄、南海はパ・リーグに所属していたので、まるで関西・電鉄リーグのような感じだったとか。筆者からすれば羨ましく思えます。

 

この3チームの中で最も強かったのが西宮北口を本拠地としていた阪急ブレーブスです。阪急は1970年代に日本一3連覇を達成しましたが、メイングラウンドである西宮球場はガラガラでした。原因は同じ西宮市内にある阪神甲子園球場を本拠地とする阪神タイガース。阪神タイガースの人気はすさまじく、なかなか歯が立たなかったようです。毎年3月になると阪急と阪神で定期戦も行っていましたが、阪急対阪神の日本シリーズは実現しませんでした。

 

現在、西宮球場は大型ショッピングセンター「阪急西宮ガーデンズ」になりましたが、館内には阪急ブレーブスの栄光を今日に伝える博物館があります。

 

それでは阪急、近鉄、南海はどのように変化したのでしょうか。以下の表をご覧下さい。

 

  • 阪急(1936年~1988年)→オリックス・ブレーブス/オリックス・ブルーウェーブ(1989年~2004年)→オリックス・バファローズ(2005年~)
  • 近鉄(1949年~2004年)→オリックス・バファローズ(2005年~)
  • 南海(1938年~1988年)→福岡ダイエーホークス(1989年~2004年)→福岡ソフトバンクホークス(2005年~)

 

少し複雑なのが阪急ブレーブスと近鉄バファローズの歴史です。阪急ブレーブスはオリックスになり、2004年までオリックスと近鉄は別チームでした。2005年にオリックスと近鉄が合併。同年に仙台を拠点とする東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生し、オリックスと近鉄に所属した選手はオリックス、楽天に分かれました。

 

今シーズンもCS(クライマックスシリーズ)と日本シリーズのみ。ぜひ機会があれば球場まで足を運んでみましょう。

 

取材・撮影/新田浩之