以前まで新幹線や特急列車に乗車する際に必ずあった座席が自由席と指定席です。近年、自由席や指定席の取り扱いに変化が起きています。また、世の中にはユニークな自由席と指定席もあります。今回は知られざる座席事情を解説します。

おさらい、自由席とは?指定席とは?

最初に子どもにも分かるようにJRの自由席と指定席のおさらいから始めます。一般的に新幹線や特急列車には自由席と指定席があります。

 

自由席は「どこでも好きな座席に座ってOK」という座席。ただし席が空いていないときは座れません。子ども向けのゲームでたとえると「フルーツバスケット」のような感覚ですね。

 

一方、指定席はあらかじめ座る人が決められている座席。指定席を利用する際は指定席券を購入しないといけませんが、必ず席に座れます。なお、指定席券の料金は会社、列車、時期によって変わります。詳しくはJR各社のホームページを確認してください。

速い新幹線は自由席が少ない?

まずは新幹線から。新幹線は停車駅が少ない列車は自由席が少ない、もしくは設定されていません。以下の表を確認してください。

新幹線の速達列車における自由席の設定について
※2019年9月現在。臨時列車は入れていません

 

  • 東海道・山陽新幹線 のぞみ:自由席車両は1号車~3号車
  • 山陽・九州新幹線 みずほ、ひかり:自由席車両は1号車~3号車
  • 東北・山形・秋田・北海道新幹線 はやぶさ、はやて、こまち:自由席車両はありません つばさ:自由席車両は16号車~17号車
  • 北陸新幹線 かがやき:自由席車両はありません

 

東北・秋田・北海道・北陸新幹線を走る速達タイプの列車には自由席車両がありません。したがって、上記の列車に乗る際は必ず指定席を予約しましょう。また、オンシーズンの「のぞみ」の自由席は混み合います。オンシーズンに「のぞみ」に乗車するときも指定席の予約をお忘れなく。

 

一応、全車指定の「はやぶさ」「こまち」「はやて」「かがやき」では満席時にデッキに立てる立席特急券が販売されていますが、子どもにとって長時間の立ちはキツいもの。あまりおすすめできません。

えっ、JR東日本では自由席がなくなっている?

以前、JRの特急列車は一部を除き自由席が連結されていました。ところがJR東日本の特急列車では自由席がなくなっているとか。一体、どういうことなのでしょうか。

 

JR東日本を代表する特急列車「あずさ」を例に挙げてみましょう。「あずさ」は新宿(一部東京)と長野県を結びます。

 

2019年春から「あずさ」では自由席がなくなりました。自由席の廃止と同時に新たな着席サービスがスタート。なお新たな着席サービスは常磐線の特急「ひたち」「ときわ」にも導入されています。新たな着席サービスは以下の2パターンがあります。

 

  • 確実に座りたい→指定席特急券を購入する
  • 乗る列車が決まっていない→座席未指定席券を購入→空席に座るor指定席券に変更。

※座席未指定席券から指定席特急券への変更は無料。指定席特急券と座席未指定席券の料金は同じ

 

指定席特急券の取り扱いは従来と変わりはありません。ポイントは座席未指定席券が導入されたこと。座席未指定席券を購入し、座席上のランプが空席であることを示す赤色のランプが点っていれば座れます。また座席未指定席券から指定席への変更もできます。

 

新たな着席サービスはヨーロッパのシステムとよく似ています。今後、JR東日本管内を走る特急列車に新たな着席サービスが次々と導入されることでしょう。

私鉄の特急は全車座席指定車がほとんど

一方、専用車を使った私鉄の特急列車は全車座席指定車がほとんどです。つまり、特急券が売り切れると乗車はできません。オンシーズンに利用される際は早めに席を予約しましょう。

 

 

一方、ユニークな特急列車を運行しているのが名古屋鉄道(名鉄)と南海電気鉄道です。ほとんどの名鉄特急と南海特急「サザン」は専用車両(指定席車両)と一般車両(自由席車両)が連結されています。つまり、専用車両(指定席車両)に乗車する際は普通乗車券とは別に特別料金を払わないといけません。一方、一般車両(自由席車両)は普通乗車券のみで乗車できます。

 

 

筆者は特急「サザン」に乗車したことがあります。「サザン」は難波~和歌山市・和歌山港間を結ぶ特急列車です。難波から空港線(泉佐野~関西空港)との接続駅である泉佐野までの乗車であれば一般車両を利用します。一方、和歌山市までは1時間以上かかるので、510円を払って専用車両の快適なシートに座ります。このようにケースバイケースで使い分けられるので、とても便利です。

普段、乗り慣れない新幹線、特急列車に乗る際は事前チェックを!

10年ほど前まではJRの指定席、自由席のルールはおおむね同じでしたが、最近はどんどん変わっています。普段、乗り慣れない新幹線や特急列車に乗る際は各社のホームページを通じて事前チェックすることをお忘れなく。

 

文・撮影/新田浩之