最近よく耳にする「低温調理」という調理法。通常の加熱調理では肉や魚をフライパンや沸騰状態の鍋で高温加熱しますが、低温調理は比較的低めの温度で湯煎して加熱を行います。こうすることで、食材の旨みが閉じ込められたジューシーな仕上がりになるのです。
実際にフレンチのレストランなどでもこの調理法はよく用いられており、おいしい料理を作るのに欠かせません。料理人が使う調理法と聞くと、素人にできるのか不安になるはず。そこで紹介したいのが「BONIQ」という低温調理器の存在です。
今回はBONIQを使って、ローストビーフ、蒸し鶏、温泉卵作りに挑戦。その出来栄えは想像を超える仕上がりでした!
お湯の温度を一定に保つのが特徴
BONIQは何に使う調理道具なのかわからないような見た目をしています。単体で低温調理はできず、水を張った大きめの鍋を用意しなければなりません。
湯煎するには5~15リットルの鍋が必要。
低温調理の手順は、最初に食材に下味を付けてフリーザーパックに入れ、BONIQで時間と温度を設定して鍋に食材を入れてスイッチをオン。加熱し終えたらフライパンで表面に焼き目を付けて完成です。今回は公式ブログで紹介されている「BONIQ後に塩を入れる」方法を試してみることにしました。
まずは鍋に水を入れ、鍋の縁にBONIQをセットします。あとは、温度と加熱時間を設定してスタートボタンを押すだけ。指定の温度になるまで少し時間がかかるので、最初からお湯を使うと調理前にかかる時間を短縮できます。
設定したお湯の温度になるとブザーが鳴るので、フリーザパックに入れた牛モモ肉のブロックをお湯に入れましょう。あとは時間が経過するのを待つだけです。今回は250gのお肉を60℃で90分加熱しました。
これまでの作り方とはケタ違いの仕上がりに
低温調理を終えたら、フリーザーバッグに適量の塩を入れて味付けし、最後にフライパンで表面に焼き目をつけます。完成したのがこちら。
BONIQで作ったローストビーフはとにかくしっとりしていて、肉のジューシーさはこれまで作ったことがあるローストビーフのなかでもケタ違い! きちんと肉の中心部分まで均一に加熱されているのも低温調理ならではの特徴だといえます。
ただし、生肉を低温調理する際は食中毒の注意が必要なので、小さな子どもがいる家庭なら少し加熱時間を長くしたほうが安心かもしれません。厚生労働省サイトによると、「中心温度75度で1分以上」の加熱が必要だそうです。
蒸し鶏や温泉卵もほったらかしておくだけ
これだけしっとり仕上がるのであればと、続いて挑戦したのが公式ブログにも出ている「蒸し鶏のねぎ生姜ソース」です。BONIQを60℃、60分にセットします。続いて、皮を取り除いた鶏むね肉300gに塩こしょうをして、白ねぎの青い部分としょうがの皮、ごま油大さじ1杯と一緒にフリーザーパックに入れてよく揉みます。
完成した蒸し鶏をカットし、そこに生姜ソースをかければ完成。この蒸し鶏も絶品で、普段ならパサつきがちな鶏むね肉も驚くほどしっとりしています。おかずとしてはもちろん、晩酌のお供にも良さそうな一品です。
そこにサラダ油大さじ2杯、ごま油大さじ2杯を加え、塩こしょうで味を整える。
さらに、丼ものなどに添えるとおいしい温泉卵もBONIQがあれば簡単です。温泉卵の場合は殻ごとお湯のなかに入れて68℃で30分加熱します。
ほかにも、魚介や野菜を使ったメニューはもちろん、コンポートやカスタードクリームといったスイーツも作れます。低温調理に初めて挑戦する人でも作り方に悩むことはないはずです。
公式サイトでの価格は1万9800円(税抜)と決して安くはないものの、家で作る料理の幅を広げたいと考えている人なら買って損はありません。また、「小さな子どもを連れて外食するよりは自宅でおいしい料理をゆっくり食べたい」というママにとっても役立つ調理家電になりそうです。
BONIQ
本体サイズ:高さ37×最大幅10cm(最小幅6cm) 重さ:1.2kg
定格電力:100V/50-60Hz(最大800W) 葉山社中
文/今西絢美 撮影/篠田麦也