今回は京都市内北部を走る叡山電鉄を取り上げます。叡山電鉄は小さな鉄道会社ですがユニークでレトロな車両がたくさん。ぜひ、子どもと一緒に叡山電鉄に乗り、鞍馬・貴船を訪れてください。

そもそも、叡山電鉄とは

叡山電鉄

叡山電鉄は京都の出町柳~八瀬比叡山口間、出町柳~鞍馬間を結んでいます。出町柳駅で京阪電車と接続します。したがって、大阪方面から叡山電鉄を利用する場合は京阪特急が便利です。

 

叡山電鉄は「えいでん」や「叡山電車」といった名称で地元に親しまれています。また貴船や鞍馬といった観光エリアを通るため、観光客の利用が多いことも特徴です。叡山本線の終着駅である八瀬比叡山口駅では比叡山山頂に向かうケーブルカー、ロープウェーに接続します。所要時間(昼間時間帯)は出町柳~八瀬比叡山口間が約15分、出町柳~鞍馬間が約30分です。どの列車も各駅に止まります。

ユニークな”楕円”が目立つ観光列車「ひえい」

観光列車「ひえい」

 

叡山電鉄には数々のユニークな列車が走っています。その代表格が2018年3月にデビューした観光列車「ひえい」です。「ひえい」の特徴は何といってもユニークな外見。楕円をモチーフとした前面は利用客に強烈なインパクトを与えています。この楕円は「神秘的な雰囲気」や「時空を超えたダイナミズム」を表現しているとのこと。神聖な雰囲気が漂う比叡山や鞍馬山がある叡山電鉄らしい車両といえるでしょう。

 

前面に目が行きがちですが、側面にも注目してください。側面には楕円形の窓が並んでいます。車体の真ん中には大きな窓が。また濃い緑色が沿線の風景に馴染んでいます。

 

車内はロングシートが並んでいますが、センスのあるデザインのせいか旅行気分が盛り上がります。それもそのはず、「ひえい」は2018年度のグッドデザイン賞を受賞しています。シートの座り心地もよく、あっという間の鉄道旅行になると思います。また新造車両ではなく改造車両であることも驚きですね。「ひえい」の運行ダイヤは叡山電鉄のホームページで公開されています。

ノスタルジックな雰囲気に浸れる「ノスタルジック731」

 

昭和ノスタルジーに浸れる車両が「ノスタルジック731」です。こちらも「ひえい」と同様、改造車です。

 

外観は元の車両とあまり変わっていません。緑色をベースにドア部は茶色。ノスタルジックというよりは「京都らしい車両」と表現したほうがいいでしょうか。側面の上部には大きく「叡山電鉄」とペイントされています。

 

車内は床が木目調になっており、シートは赤色です。「ノスタルジック731」は1925年(大正14年)に叡山本線で活躍したデナ1形車両をイメージしているとのこと。デナ1形車両に乗ったことがない人でも懐かしさを感じられる車両に仕上がっています。

 

「ノスタルジック731」は「ひえい」とは異なり、運行ダイヤは公開されていません。路線の総距離は短いため車庫にいない限り、ある程度待てば乗れますよ。

叡山電鉄観光列車の草分け、展望列車「きらら」

今でこそユニークな観光列車が多い叡山電鉄ですが、平成初期までは普通の車両が行き交うだけでした。観光列車の草分けとなったのが1997年(平成9年)にデビューした展望列車「きらら」です。「きらら」は新造車です。

 

「きらら」は展望列車ということもあり、前面・側面ともに大型の窓を採用。車内は1列+2列のシートを基本とし、窓向き座席もあります。叡山電鉄の沿線風景はとても美しいのですが、おすすめの季節は秋。美しい紅葉が至るところで見られ、見る者をうっとりさせますよ。なお「きらら」の運行ダイヤは叡山電鉄のホームページで公開されています。

沿線には観光スポットがたくさん

単に叡山電鉄に乗って帰るだけではもったいない! せっかくですから、沿線にある観光スポットを訪れてみましょう。たとえば、鞍馬駅から徒歩数分のところには鞍馬寺があります。鞍馬寺は牛若丸(源義経)が修行した寺としてあまりにも有名。駅前には鞍馬寺のシンボルである「鞍馬天狗」が置かれています。鉄道ファンですと境内にある日本一短いケーブルカーもチェックしたいところです。

 

八瀬比叡山口駅周辺には美しい庭園で有名な瑠璃光院があります。瑠璃光院は営業期間が限定されているため、事前にホームページで確認することをおすすめします。

 

また鞍馬駅、八瀬比叡山口駅の駅舎にも注目したいところ。いずれも趣深い駅舎で自然と心が和みます。

 

文・撮影/新田浩之