■読み始める前の準備がものを言う

いざ、読み始める前に、その本を読もうと思ったきっかけや、表紙・タイトルからどんな印象を受けたのかなどを整理しておきましょう。読む前と読んだあとで、印象がどう変わったのか。つまり、その読書体験を通して得た新たな視点や気付きは、読書感想文を書くうえでは大切な要素となります。 また、あらかじめ大まかな構成要素を考えておくのもよいでしょう。「登場人物についての印象」「自分が主人公の立場ならどうするか」「共感したところ」「共感できなかったところ」「特に好きなところ」「あまり好きではないところ」など、どこにポイントを置くかをある程度考えておくことで、意識して読書を進めることができます。 読書を始めると、つい夢中になってしまうもの。そのこと自体はステキな経験ですが、事前の準備なしに読んでいると、読書感想文を書くうえではまとめにくくなってしまいます。


■読み進めながら、ポイントをふせんでチェック

いよいよ本を読み始めるときには、手元にふせんを準備しましょう。本を読み終えたあとには、大きな感動が残るもの。しかし、ストーリーの途中で心が動いたポイントは、読んでいるうちに忘れてしまうこともありますね。そこで役立つのがふせん。読みながら、「おもしろい」「悲しい」「もし自分だったら…」などのポイントがあったら、一言添えてそのページにふせんを貼っておきましょう。 ふせんには、「わくわく!」「イライラ~」など、読んだときの感情の動きを一言で記しておくのもよいですし、少し大きめのふせんなら、簡単に感想を書き留めておくのもよいでしょう。ただ、あまりにもたくさん貼ってしまうと、まとまりがつかなくなるので、5~6カ所くらいに留めておきましょう。 そして、忘れてはならないのが、「作者がこの作品を通して伝えたいことは何か。そして、それに対して自分はどう思うのか」を考えながら読むこと。読書感想文を説得力のあるものにするためにも、これは欠かせないポイントです。


■構成を組み立て感想を整理してから書き始めよう

感想文を書くにあたって、「はじめ・なか・おわり」という三部構成で内容を組み立てていきましょう。 「はじめ」では主に、読んだ本について書きます。その本を選んだきっかけや、簡単なあらすじ、読む前の印象などが主な要素。つい、あらすじをくどくどと書きたくなりますが、ここで長く書き連ねると、感想文の大半があらすじというバランスを欠いた構成になってしまいますので注意しましょう。 次に、感想文の中心となる「なか」の部分です。ここで役に立つのが、読書中に貼り付けたふせん。ふせんを基に中身をふくらませ、心に残った場面やそれを読んで自分が考えたことなどをくわしく書いていきます。感想だけでなく、自分の体験談を絡ませたり、自分に置き換えて考えたりすることで、内容が深いものになりますよ。 「おわり」の部分では、感想文のまとめとして、最も強く心に残ったことや、その本を読んだことで自分の考えが読む前と比べてどう変わったのか、これから自分がどうしていきたいのかなどを書きます。 読書中にメモをとって、感想文にまとめていく方法は、低学年ではまだ難しく感じるかもしれません。そんな場合は、お父さんやお母さんがインタビュアーになって、子どもと対話しながら感想や考えを引き出してあげるとよいですね。 「心に残ったところは?それはどうして?」「どの登場人物が一番好き?その人のどんなところが好き?」「もし自分が主人公だったら、どんなふうに行動したと思う?」など。お子さまの自由な言葉を引き出してあげることで、感想文が豊かなものになります。