いくらかわいがってくれても、いくら仲良くしていても、妻にとって実の親と義両親とはやっぱり違います。普段はたまに行く、義両親の家に「里帰り」して暮らしてみたら…産後の不安定な状態も相まって、辛いことがありました。「義実家へ里帰りをした」という妻たちに、当時の心境を聞いてきました。

■子どもを取られたような孤独感(由紀さん/30歳/パート)

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私の両親が早くに他界していたこともあり、出産後は義実家でお世話になることにしました。姑にはいつも良くしてもらっていたので抵抗はなかったのですが、実際に一緒に住んでみるとストレスが溜まって大変だったのを覚えています。

先に言っておきますが、結果的に姑にはとても感謝していますし、義実家にお世話になって本当に良かったと思っています。でも、義実家にいる間、つねに「子どもを姑に取られているような感情」に襲われていました。

子どもが泣くと姑が走ってきて「あなたは疲れているでしょうから、ゆっくりしていなさい」と、連れて行ってしまいます。さらに、お風呂に入れる役割も姑。たまに私が入浴させていると、後ろに立って指図されます。

いま思えば、私の体を気遣う姑の優しさでもあったのでしょうけど、そのときの私には、ストレス以外の何ものでもありませんでした。

■自信満々で語る「古すぎ子育て論」(七穂さん/28/事務員)

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私の実家が遠方すぎるため、出産後は義実家に「里帰り」することにしました。しかしのちに、激しく後悔することになります。というのも、姑から「古い子育て論の押しつけ」がひどかったんです。

例えば「うつぶせ寝は危険だ」と医師から言われて仰向けで寝かせていたのに、気づけば子どもがうつぶせになっていることがよくありました。もちろん姑のしわざです。「うつぶせのほうが寝つきがいいのよ」と悪びれることはありません。

私がどんなに「お医者さんからの指示なんです」と言っても、聞きいてくれません。さらに「抱き癖がつくから抱っこはやめなさい」と時代錯誤なことを言ってきたり、さらには「紙おむつなんて使わないの! おむつは布が一番よ!」と。

いまでは考えられないような子育て論を押しつけてきて、とにかく大変でした。それに対して、私が「いまと昔では子育てに対する考え方が違うんです!」と言うと、「私は5人の子どもを立派に育ててきたの。誰かひとりでも、変な育ち方してるかしら?」と強気で反論。

そう言われると新米ママの私には、返す言葉がなくなってしまうんです。本当に辛い日々でした。

■いまでも「嫌いなものランキング」上位(美穂さん/34/事務員)

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私の出産と父の病気が重なり、出産後は旦那の実家でお世話になることにしました。姑とは仲が良く、そんなに気を遣わなくてもいいと思っていたのですが、これが大きな間違い。

初産だった私にとって、出産後のホルモンバランスの乱れからくるイライラは、想定外のことだったんです。精神的に不安定になり、姑の行動すべてに腹が立つようになりました。子どもを触られるのも嫌、細かく干渉されるのも嫌。

とにかく終始イライラがおさまりませんでした。でも、実の親ではないので、強く当たることも言葉で不快感を伝えることもできません。しだいにストレスが蓄積し、夜になると涙が止まらなくなってしまったんです。

決して姑が悪いわけではないのはわかってる。だけど誰かのせいにしていないと、自分が壊れてしまいそうで…。あの辛かった日々は、子どもがある程度大きくなったいまではいい思い出に。でもいまでも、どうしても嫌なことがひとつだけあります。

それは、「おっぱいの出が良くなるから!」と言って、毎食出されていたレバーとお餅。食欲がなくても、無理やり口に押し込まれた悲しい記憶…おかげさまで、レバーとお餅はいまでも私の「嫌いなものランキング上位」に君臨し続けています。

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実の親と違って気軽に言えないことも、妻たちを悩ませるタネだったよう。しかし、気を遣ったりストレスを感じているのは、受け入れる側も同じであることを忘れないようにしましょう。いままで一緒に生活したことのない他人同士ですから大変ではありますが、大きな感謝に値することなのは間違いありませんよね。

 

ライター:葛西 明