「そう信じてる」って声をかけたい

── 術後の経過はいかがですか?
徳留さん:7月に手術をしてから3か月ほど経ちました。今は右腕が少し上がりづらいですが、日常生活にもほとんど支障がないほど回復しています。手術してよかったと思っています。
── 抗がん剤治療と手術を終えて、乳がんと診断されてから1年半後の今年9月、医師から「完全奏功」を告げられたそうですね。
徳留さん:はい。手術後の病理検査の結果、がん細胞が見つからなかったということで、がん細胞が消えた状態の「完全奏功」だと。いわゆるステージ0の状態といえるようです。
再発のリスクはありますが、乳がんの場合、5年から10年の間、再発しなければ再発のリスクは低いと聞いています。私の場合、2027年3月までは免疫をあげる薬を3週間に1回投薬されて、それで治療は終了。あとは定期的に検査をするだけと言われています。
── 医師から「完全奏功」と言われたときはどんなお気持ちでしたか?
徳留さん:嬉しかったんですが、実感が持てたのはそのあとです。診察後、お会計の列に並んでいたら、後ろの患者さんから「よかったね」って声をかけられて。初めて会った人だったから不思議に思ったんですけど、どうやら同じ担当医だったらしくて。「先生、すごく喜んでいましたよ。私も完全奏功だったんです」と言っていました。
担当医は30代の男性ですが、いつもはクールで、完全奏功と言ってもらったときも「よかったですね」と落ち着いた様子だったんです。そんないつもの姿からは想像できなかったので、「先生も喜んでくださったんだな」ってしみじみ嬉しかったです。
実家の両親や姉、兄家族にはLINEで報告しました。みんなすぐに返信をくれてすごく喜んでくれて。姉からは「今回のことで歌織を心から尊敬した。落ち込んで悲劇に浸ることもできたし、自分ならそうなっていただろうけどあなたはずっと明るくてすごかった」とほめてくれました(笑)。
夫は診断後もずっと寄り添ってくれて、いつもと変わらない態度だったので、私も落ち着いていられたと思います。完全奏功の状態になったときには「よかった」と言ってくれました。そんな家族の言葉をかみしめながら、ここまできたんだと実感できたし、支えてくれたことに「ありがとう」の気持ちでいっぱいになりました。
── 乳がんをご経験されて、改めて伝えたいことはありますか?
徳留さん:とにかく定期的な検査で早期発見を目指してほしいし、心配事があるときはセカンドオピニオンを受けてほしいです。状況にもよると思いますが、何か気になることがあれば早めに受診してほしいと願っています。
そのうえでがんになってしまったとしても、現代医療では多くの方が寛解できると言われています。私を含めて多くの方が仕事をしながら治療を乗り越えています。同じ乳がんでもいろんな状況の方がいらっしゃると思いますが、「あなたならきっと乗り越えられる」「自分らしさを失わずにいられる」、私はそう信じてるって声をかけたいですね。
取材・文:たかなしまき 写真:徳留歌織