世界200人程度の難病・ローハッド症候群を患っている渡辺未来さんの娘・瑚々(ここ)さん。1歳ごろから急激に体重増加、笑顔が消えて怒りっぽくなり、呼吸状態が悪くて救急搬送されるなど、状態がどんどん悪化していきます。さらに、呼吸を安定させるために気管切開を行うと、その直後に異変が生じます──。

深夜2時に看護師さんが慌てて部屋に入ってきて

渡辺瑚々
3歳3か月ごろ、病気の特徴のひとつである怒りの感情が強く出ていた時期

── ローハッド症候群という世界でも200人程度、日本では多くて30人程度と言われる難病を患っている娘の瑚々(ここ)さん。ローハッド症候群はまだまだ未知の病気ですが、急激な体重の増加、性格の変化、呼吸管理の悪化ほか、いくつか特徴があるとのこと。

 

瑚々さんは生後1歳あたりから急激に体重が増加し、いつも笑顔だったのに怒りっぽくなったそうですね。その後、2歳10か月のときに肺炎を患って入院、2度の意識障害を引き起こし、3歳のときに呼吸を安定させるため、気管切開(肺に空気を送ったり、痰を吸引しやすくするために気管に孔を開けること)を行うことに。3歳で気管切開をした術後の状態はいかがでしたか?

 

渡辺さん:術後でまだ声が出なかったものの、私が「瑚々ちゃん、これ持ってきたよ」と言えば「うん」と頷くなど、意思の疎通はできました。でも、術後2週間でPICU(小児集中治療室)から一般病棟に移った矢先に急変したんです。

 

──  どういう状況でしょうか?

 

渡辺さん:術後から熱が続き、その日も解熱剤を投与してもらいました。日中落ち着かない様子でしたが、夜になって「やっと寝たかな」と思っていたら、深夜2時くらいに看護師さんが慌てて部屋に入ってきたんです。

 

夜間は人工呼吸器をつけてナースステーションでモニターを管理していましたが、心拍数が急激に下がってアラームが鳴ったらしくて。看護師さんが「ちょっと電気つけるよ!」と言って、部屋がパッと明るくなった瞬間、顔面蒼白の瑚々が見えました。「心拍数が急激に下がってる!」と言われ、緊急コールで医師や他の看護師さんたちもバタバタと駆けつけてPCIUに運ばれていきました。翌朝、医師から「解熱剤に、何かが何らかの原因で反応し、アナフィラキシーショックを起こした可能性がある」と言われました。

 

その当時、娘に意識があったかどうかはわかりません。ただ、PICUに入った娘の小さな手を握ると、娘ははっきりと握り返してくれたんです。それが、瑚々が寝たきりになる前の、最後の意思の疎通となりました。1週間後に目を覚ましましたが、アナフィラキシーショックの影響で脳にダメージが生じ、今後は自分で食べたり、しゃべったり、動いたりすることは難しいかもしれない、と医師から告げられました。