次の出産時にもよぎったまおちゃんのこと

── おふたり自身は、その後、2人のお子さんを授かっています。まおちゃんを亡くしたあと、もう一度、子どもを持つことをどんなふうに考えていましたか。
梓さん:子どもは欲しいと思っていました。でも、元気な赤ちゃんに会えることは決して当たり前ではないと身をもって知ったので、次の妊娠では「また同じことが起きたらどうしよう」という怖さがずっとありました。無事に生まれてくるまで、安心することはできなかったと思います。それに、「次の子を授かることで、まおちゃんを寂しくさせてしまわないかな」という思いもあったんです。でも、実際に妹と弟が生まれても、まおちゃんへの愛情が薄れることはなかった。今では、家族の一員としてそこに存在して、一緒に歩んでいるような感覚です。
淳さん:まおちゃんのために作った「おうち」は今も寝室にあります。朝起きるとみんなで、まおちゃんに「おはよう」と声をかけ、娘がおりんを鳴らして1日が始まります。まおちゃんが日常の中にいることが、僕たちにはごくふつうになっています。
── 目の前の家族の声に応えることから始まった活動を続けて、多くの当事者と関わるなかでどんな課題が見えてきましたか。
淳さん:最初は、目の前のお父さんやお母さんの困りごとにひとつずつ応えることから始まりました。でも、関わるうちに本当に多くの方が同じような悩みを抱えている、と知ったんです。死産や流産を経験したあと、必要な情報や選択肢にたどりつけなかったり、周囲から「次があるよ」と言われて、傷ついたりする方もいます。亡くした子を忘れず、家族の一員として一緒に生きていくというあり方も、まだ、社会に十分受け入れられているとは言えません。
そうした現実に触れるなかで、これは一人ひとりの家族だけの問題ではなく、社会全体で向き合う課題なんだと思うようになりました。 同じような活動をしている方でも、継続できずにやめてしまうケースがあります。だからこそ、一時的な活動ではなく、必要な方にこれからも届け続けられる仕組みを私たちは作っていく。soramusubiの活動を続けながら、この課題に長く取り組んでいきたいと思っています。
取材・文:西尾英子 写真:田中梓