兄弟との役割分担に対して出した答え

── 親の介護が始まると、誰が担うのかという問題を避けては通れません。羽田さんのご家庭では、どのように分担しているのでしょう。
羽田さん:兄がふたりいますが、どちらも家庭があり、仕事でも責任のある立場です。私は独身で比較的時間を調整しやすく、母が気兼ねなく頼れるのも実の娘だろうと思い、当初は私が中心になろうと考えていました。
でも、父の通院に付き添えない日に兄たちへ頼んでも誰も都合がつかないことがあって。「私ひとりがその都度やりくりする形では続かない」と痛感しました。そこで家族のグループLINEを作り「私も仕事があるので、無理なときは断って構わないから、みんなで支える体制を作ってほしい」とお願いしたんです。
── 介護の役割分担では、仲のいいきょうだいでも温度差が生まれることがあります。SOSを出したとき、ご家族の反応はいかがでしたか。
羽田さん:兄たちにも協力する気持ちはありましたが、具体的に頼むと仕事で都合がつかずに「介護サービスに任せればいいんじゃないか」と、少し距離を感じる返事が返ってくることもありました。でも「私はこれだけやっているんだから、みんなも動いてよ」と大変さをぶつければ、ケンカになってしまう。近い関係だからこそ、頼み方を雑にしてはいけないと思ったんです。
そこでまず、「毎日仕事が大変だよね。お疲れさま」と相手をねぎらってから、協力をお願いしました。すると、ただ外部に任せればいいという反応ではなく、私の状況も踏まえ、どうすれば介護を回せるかを一緒に考えてくれるようになったんです。
── 正論をぶつけるのではなく、まず相手の事情を汲み、ねぎらう。ただ、介護で自分にも余裕がないなか、それを実践するのは簡単ではなかったのでは。
羽田さん:もちろん余裕がなくなることはあります。でも、「まずは自分がやる」と腹を括ると、兄たちに求めすぎなくなったんです。そのうえで、自分だけではできないことはきちんと伝えて、助けを求める。そうして向き合っているうちに、兄たちも「何かやることがあったら言って」と、助けてくれるようになりました。