4年前に父が亡くなり、現在は高齢の母の介護をするため東京と茨城で二拠点生活をしている俳優・羽田美智子さん。外出直前の排泄トラブルや母の「ごめんね」に胸を痛めながら「下のお世話がいちばん気をつかう」と明かすリアルな苦労も。兄と役割を分担し、周囲の力も借りながら、将来の不安に向き合うお話も聞きました。
出掛けようとした矢先に母のトイレ介助が

── 長年にわたり、俳優として第一線で活躍するなか、現在高齢のお母さんの介護もされています。家族の支えが必要だと感じたのは、どんな出来事からだったのでしょう。
羽田さん:数年前までは元気でしたが、4年前に父が亡くなったあとから変化が現れ始めました。 最初に異変を感じたのは、お風呂上がりのことです。母が真っ白な顔で口から泡を吹き、体に触れると冷たくて。それがヒートショックだったと知ったのは後になってからです。当時は思わずゾッとしました。
もうひとつは、料理を面倒くさがるようになったこと。以前は帰宅後すぐに台所に立つ人だったのに「作る気がしない」と。ある日はサルモネラ菌による食中毒を起こし、1週間ほど血便が続くなど、異変が立て続けに起きたんです。
── 気丈だった親の変化を目の当たりにするのは、心がざわつきますよね。親の老いをすぐには受け入れられない人も多いです。
羽田さん:私も「まだ大丈夫」と客観的に見られませんでした。でも父が4年前に亡くなり、ずっと支えてきた相手を失ったことで、母自身がポキッときてしまったのかなと。 80代後半という年齢の重みや心身の変化から「私が介入しなければ」と考え、介護認定を申請しました。母は要介護1と認定され、ここ2年ほどは行政の力も借りながら、私の生活スタイルも変えてきました。
介護は自分の身に起きて初めて大変さを実感しますね。今は週2回、お風呂を施設にお願いしていますが、それ以外の日々の世話は続いています。朝昼晩の食事も、母が食べやすい献立を考え、塩分を控えるなど気を配っています。
── 介護は、こちらの予定通りにはいかないことが多いですよね。
羽田さん:食事の支度にも気を使いますが、やはり気を使うのは下のお世話でしょうか。母がトイレに間に合わなかったとき、出かける直前でも、支度を中断して着替えを手伝い、片づけをしなければなりません。こちらも備えてはいるのですが、「今日は大丈夫だろう」と思ったときに限って起きるんですよね。母も状況がわかっているだけに、「ごめんね」と言うんです。そう言われると、胸が痛みます。
仕事が夜遅くまで続き、翌朝も早いときは、兄に母を任せることがありますし、これから舞台公演もあるので、ショートステイの利用も考えています。ただ、今のところは事務所にもスケジュール面で協力してもらうなど周囲の力を借りながら、介護と仕事を続けています。
それでも、「介護がこれからさらに重くなるのだろうか」という不安は常にあります。介護度が進んだ方を支えているご家族の話を聞くと、「私にもいずれそういうときが来るのかもしれない」と、気が重くなってしまうんです。