子どものために頑張る母親ほど壊れやすい
── 大きなプレッシャーや責任感に苦しみながらも2018年、施設は東大阪市に完成。4階建ての建物には、18歳までを対象とした児童発達支援・放課後等デイサービス、成人した人が仕事やライフスキルを身につける就労継続支援B型、生活介護の場、相談事業などが備わっています。息子さんのような自閉スペクトラム症の利用者が多いのですか?
檜尾さん:利用者の大半は、息子のように自閉スペクトラム症のなかでも強度行動障害などの重度の方々です。ピュアに来たからといって誰もがすぐに絵カードを使ってコミュニケーションができるようになり、気持ちが落ちつくわけでもありません。噛んだり、叩いたりと、スタッフが大変なときもあります。
でも、保護者のほうがもっと大変な思いをされているんです。そのため、ピュアではできるだけ保護者との接点を持つよう心がけています。自分たちだけで悩みを抱え込まないよう、職員が話を聞く機会を持つことで施設として保護者の方々を支えたいからです。

── たしかに、地域で孤立しがちなご家庭や周囲に理解者がいない場合は、思いつめて苦しくなりますよね。
檜尾さん:私の印象では頑張るお母さんほど、壊れやすい気がします。私とひとしきり話した後、あるお母さんが笑顔で「頑張ります」と言って親子で帰宅し、お子さんと一緒に自死されたケースもあります。また、お子さんを置いて亡くなられたお母さんから、私宛に書置きが残されていたことも…。
こちらも懸命に話を聞いて、一緒に手立てがあるかを探りますが、すべての人の力になれるわけではないと悟りました。また、発達障害相談業務も行っていますが、大人になってからご自身の発達障害に気づいて、リストカットをくり返すほど苦しむ方が来られて、相談の最後に「ここに来ても、やはり解決方法はないんですね」と背中を丸め、しょんぼりとして帰っていった姿も心に残っています。
多様性が認められる時代になりましたが、生きづらさを抱えている人たちはまだまだ多いです。相談に来られる人は氷山の一角で、一生懸命生きてあがいた結果、生きることに力尽きる人は、たくさんいます。