49歳の今、将来への正直な本音は

── もうすぐ50代ですが、こんな大人になりたいという理想は?

 

矢部太郎
2026年春に開催された文学フリマに「たろう社」として出店した矢部さん。父・やべみつのりさん作の絵本や紙芝居などを並べた

矢部さん:以前、認知症に関する本をお医者さんと一緒に作らせてもらって実感したんですが、50代や60代って、人生において「もうこんな時間なのに、まだ日が沈まない」という時間帯だと思うんです。単純に寿命が延びたからなんだと思いますが、昔だったらもう沈みかけていたはずの時間なのに、今は日が沈むのが妙に遅く感じるというか。

 

でも、老いることをマイナスに捉えているわけじゃなくて。『大家さんと僕』にも描いたんですけど、大家さんから「矢部さんは、まだまだ何度でも転べていいわね」って言われたことがあるんですが、僕は、そういう大家さんもいいな、羨ましいなって思ったんですよね。だから、「若くないからこそいい」と思えることだったり、若くないからこそ楽しめることを早めに見つけたいと思って。

 

── すでに歳をとったときの備えを始めているんですね。

 

矢部さん:はい。すでにおじいちゃんみたいな毎日ですよ。庭の草むしりをしたり、庭に盆栽を置いたり、銭湯に開店と同時に行ったり。いわゆるおじいちゃんっぽいことはすべてやっちゃってるかもしれないです。

 

昔『進ぬ!電波少年』で海外に行かせてもらいましたけど、また海外で暮らしてみたいなという気持ちもあるんです。予想外のことや大変な状況があっても、それも面白いと思えそうだし、逆に日本や自分のことも理解できるようになるのかなって。

 

でも、『電波少年』で行った土地での暮らしはすごく大変だったから、できれば別の場所がいいかなって思いますね(笑)。

 

取材・文:たかなしまき 写真:矢部太郎