母のすすり泣きに「自分がしっかりしよう」と

── ご家族も心配されたことでしょう。

 

滝川さん:手術を受けたあとのことです。母がすすり泣く声で目が覚めました。その姿を見た瞬間に、「あ、自分がしっかりしないといけないな」と、気持ちが切り替わりました。大切なわが子がこういう姿になってしまったら、自分が代わってあげたかったと思うだろうし、その親心、つらい気持ちを客観的に考えたときに、心のスイッチが切り替わって、「俺が下を向いたままではダメだな。生きなきゃ」と、思い直しました。

 

── 家族の嘆きでかえってポジティブな気持ちになるのが不思議ですね。

 

滝川さん:両親は心配性なんです。いちばん近い存在で、体のことを考えてくれるからこそ、僕が何かしようとすると「ずっと寝ていればいい、ムリしなくていい」とストップをかけてくるんです。その優しさがありがたい一方で、つらくもありました。

 

退院後はそんな家族への甘えを断ち切り、自分の人生を自分の手で動かしたかったので、あえてひとり暮らしをすることにしました。案の定、母は「大阪の実家に帰ってきたら?」と、反対しました。ただ、父だけは「やりたいようにやれ。ただし二度と帰ってくるな」と。父なりの強い愛情と、僕の決意を見守る覚悟の裏返しだったのでしょうね。