毎朝7時からリハビリに励む女性を見て

── 脊髄損傷で首から下が動かない状態で、リハビリはどのような形で進められたのでしょうか。

 

滝川さん:身体が動かせないだけでなく、血圧のコントロールもうまくいかず、身体を少し起こすだけで起立性低血圧によるめまいや吐き気、頭痛が起きていました。ベッドを30度起こすだけで「ムリ、ムリ」という感じです。そのため、まずはベッドの角度を10度、20度と少しずつ上げる練習からスタートしました。

 

── リハビリというと、足を動かす練習などをイメージしますが、そうではないんですね。

 

滝川さん:最初は身体を起こすリハビリや、人工呼吸器を外して自力で呼吸するリハビリが中心で、続いて、感覚の残っていた手のリハビリが始まりました。今残っている機能を維持することを優先するんです。

 

滝川英治
リハビリにより、少しずつ手も動かせるように

── 無意識で当たり前にできたことを訓練する…。つらく大変だったかと思いますが、何を支えにがんばったのでしょうか。

 

滝川さん:リハビリ病院に入院しているときは、ほかの患者さんたちの障がいと戦う姿にずいぶん励まされました。病院でスタッフの方と一緒にやるリハビリって、24時間の中で、せいぜい2時間くらい。大事なのは、それ以外の自分ひとりのときに何をやるかです。あるおばあちゃんは毎朝7時頃から、義足を履いて廊下で黙々と歩行練習をしていました。自主トレ仲間として仲よくなって、その方が退院するときには励ましのお手紙もいただきました。

 

入院患者はみんな心や体に傷を負っていて、戦友のような存在です。その戦友たちとコミュニケーションを取ってリハビリにプラスにつなげることができました。

 

取材・文:鷺島鈴香 写真:滝川英治、えりオフィス