保護者からメッセージ「プロレスを見て、子どもが変わった」
── 32歳で高校から学び直し、現在も大学で学んでいるプロレスラーの大原さんだからこそ子どもたちに伝えられることがあるんですね。
大原さん:はい。それと、今、自分の課題と感じているのが、子どもたちにプロレスを見せられる環境がないことです。2025年からいろいろな小中学校で特別授業をやらせてもらっていますが、今の子たちってプロレス自体を知らない。好きとか嫌いとかじゃなくて、見たことがないからわからないんですよね。
今後のプロレス界のことを考えたら、少子高齢化のなか、10年後、20年後、「プロレスラーになりたいという若い子たちが減少するのでは」と危機感を持っています。ただ、そのなかで、プロレスに招待した子どもたちの様子から、「やっぱりプロレスは元気を与えるエネルギーがある」と手ごたえも感じているんです。

保護者の方からもメッセージをいただいて。「大原先生との出会いやプロレスをきっかけに、息子が変わったんです。すごいやる気を出して、資格を3つも取りました」って。「子どもがすごく明るくなりました」「家族でイベントに足を運んだのは実は久しぶりでした」という報告もいただいて。プロレスが子どもたちにいい影響を与えているんだと実感して嬉しかったです。
プロレスには、子どもたちを元気にする力がある。だから、プロレスラーの僕がキャリア教育として、「こんな経験をしたよ」「今はこんな学びをしているよ」「みんなには、こんなふうに生きてほしいなと思っている」と伝えられることは、尊いことなんじゃないかなと思っています。
2020年の夏には、星槎大学で学んだ「共生」という考え方をもとに、「プロレスとの共生」のイベントを企画しました。『バリアフリー音声ガイド』を使って、視覚障害のある方にも楽しんでいただいくものです。初めて知ったのですが、視覚障害のある方には、意図しない形で「エンタメから排除されている」と感じる場面が多いそうで、それなら視覚障害のある方にプロレスを楽しんでいただく方法を僕なりに形にしようと思ったんです。
企画を初めて形にしたときは、視覚障害のある方々にプロレスをちゃんと楽しんでもらえるか、正直心配でした。でも、会場の音や熱気がちゃんと伝わって、「仲間たちと集まって、プロレスというものを楽しめてよかった」と言ってくだって。僕にとっては、障害のある方がひとつの場所に集って楽しむ機会が少ないことを知ったことも大きな発見だったんですよね。障害のある方々の思い出になる場を作ることも、プロレスのひとつの役割だと思いました。
── 観てくださった方々に喜ばれてよかったです!
大原さん:僕も嬉しいです。こうした視点を持てたことは、星槎大学での学びのおかげですし、視覚障害のある方にもプロレス観戦を楽しんでいただく機会を提供できるようになりました。それ以来、この『バリアフリー音声ガイド』を使ったプロレス観戦は、毎年夏に開催される川崎での大会では恒例となっているんですよ。
いろんな経験から何かを学んだことで、新たな発見や考えをもてる人間になれる、これって子どもも大人も関係なくて、人間として学習することは大切なんだと思っています。だから、大学を卒業したら今度は福祉の勉強をするために大学院に進学するつもりですが、その後も学びをやめることはないと思います。