自治体が購入の動きも「生活圏のリスク把握にデータを活用」

── 自治体からの問い合わせも多いと伺いました。

 

八木さん:1万円など上限を決めて、GPS端末の購入費用を補助する自治体もありますし、自治体で一括購入して無償提供するところもあります。どの自治体も、お子さまが安心して生活できる地域社会を作るということに危機意識を持っていらっしゃるのだと感じます。

 

山形県長井市では、BoTトークご利用者のうち、事前にデータ提供に同意いただいたご家庭の情報を市が受け取り、子どもが日常的に通る経路や行動傾向の把握に活用されています。さらに、長井市が独自に保有する河川水位や、クマといった有害鳥獣の出没情報などのデータと掛け合わせ、子どもの生活圏におけるリスクの可視化や、見守り・安全対策への活用を検討する取り組みが進められています。    

子育てと親の面倒、自力だけでは不可能だからこそ

── さらに、ノウハウを活かして、高齢者用の見守りサービスを開発中だと伺いました。子ども用とはどんなところが違うのでしょうか。

 

八木さん:「BoTトーク」をシニアの方が使っていらっしゃる事例も多いです。認知症の方は、「足腰は元気で、新幹線に乗って信じられないほど遠くに行ってしまう」というケースもあるそうです。認知症で徘徊をされる方は自発的に端末を持って行くことや自分で充電をするのが難しいと思うので、そういったところを解決できるような商品を開発している最中です。数年以内にお披露目できたらと思っております。

 

── 子どもと親を同時に見守る時代がもうやってきていますね。

 

八木さん:40~50代の働き世代は、サンドイッチ世代と言われることもあるそうなのですが、働きながらお子さまと親の面倒を同時に見る必要があるにもかかわらず、人口分布としてはシニアより働き世代のほうが少ないというのが切実な課題だと思っています。テクノロジーなしに2つの世代を見守るというのはもう不可能な域に達していると思います。

 

いっぽうで、家族の絆は何より大切なことです。見守りAIロボット「BoTトーク」で日中は安心して仕事や家事に集中していただき、帰宅後は家族との時間を大切に過ごしていただきたいというのが我々の提供したい価値です。「AIは人にとって変わる」というのを脅威に感じる方もいらっしゃるかと思いますが、どちらかというと人間が人間らしくあるための手段のひとつと捉えています。

 

家族のあり方を考えるうえで、社会の弊害となる要素をAIが得意なところはAIに任せ、人が担うべきところは人間が担うというようにうまく役割分担することが、ますます必要になってくるのではと思っています。

 

取材・文:内橋明日香 写真:ビーサイズ株式会社