「子どもと離れる時間が少しだけ欲しい」「誰か大人に話を聞いて欲しい」。そんな子育ての「今つらい」に、すぐに寄り添ってくれる「育児119」という育児支援サービスがあります。24時間365日、育児のプロが最短1時間でかけつけてくれる仕組みは、立ち上げ当初からリアルなママの声を聞き改善を続けることで作られました。代表の石黒和希さんが目指すのは、「子育てで誰も孤立しない社会」の実現です。

「不可能だ」と言われ、悔しくて泣いた

── 石黒さんが立ち上げた育児119は、生後0か月から小学6年生の子どもがいる家庭を対象とした育児支援サービスです。ベビーシッターの「頼ってさん」が自宅や外出先に来てくれるかけつけサービスと、電話相談のふたつを軸にしています。かけつけサービスは、当日最短1時間でかけつけ可能となっていますが、立ち上げ前は「不可能だ」と言われたこともあったそうですね。

 

石黒さん:育児119は、3年ほど前にSNSで「つらいときに駆けつけてくれるサービスがあったら」という投稿を見たことがきっかけで立ち上げを決意しました。当時、私自身も子育て中で、育児は決して幸せなことだけではないということを体験し、孤立している保護者の方を助ける仕組みを作りたいと思っていました。

 

しかし、事業開始の前に有名なコンサルタンティング会社の方に話を聞いてもらったところ、「絶対にやめたほうがいい」と言われたことがあったんです。「このサービスを大手企業がやっていないのはお金にならないから。それに最短1時間で駆けつけるのなんて不可能だ」と現実を説かれて。ミーティングの後、あまりに悔しくて涙が流れました。

 

ただ、その後、冷静になってみて「その人は同じことをやっていないんだから、うまくいくかどうかわかるわけがない。やってみないとわからない」と、むしろやる気になったんです。その後も課題に当たるたび、このことを思い出して頑張れました。当時はとても悔しかったですが、今ではその方に感謝しています。

 

── 悔しさが石黒さんのやる気に火をつけたんですね。育児119はどのようなことからスタートしたのでしょうか?

 

石黒さん:全国を回って、「育児のどんなときに孤独を抱えるのか」「子どもを預けるハードルがどれくらい高いのか」など、お母さんたちのリアルな声を聞くことから始めました。 

 

育児119
育児119北海道支部での「頼ってさん」説明会の様子(写真前列・右から3番目が石黒さん)

その声をもとに、23年7月に八王子で、かけつけサービスとかけこみ託児施設運営の2足のわらじでスタートしました。かけつけサービスのみだと「家に他人が来るのはハードルが高い」という声があったため、保育士が子どもを預かり、そのあいだお母さんは育児相談やリラックスできるような場所を作ったんです。