事故現場を訪れてわかった道路の危険性

現場は、片側1車線の見通しが悪いカーブで、道路の右側を自転車で走行していた友さんは、坂道を登ってきた車と衝突。道路交通法で自転車は軽車両にあたり、車と同じ道路の左側の端を走行しなければなりません。4月から導入された自転車の青切符の対象になる「逆走」でした。

 

逆走したから、事故に遭った──。

 

当初、両親はそう思っていたそうです。ところが、事故現場を訪れてみると、ルールを守ったとしても安全に通れない可能性がある道だったことに気づいたといいます。

 

「道路の左側には保育園があり、朝はお子さんを送る保護者の車が行き交います。また、すぐ近くには運送会社が2軒あり、大型トラックの出入りがありました。左側を走行して、何度も車の前で停まり、安全確認をしながら走行するという選択ができたらよかったと思うのですが…。右側を走ればそういった車の干渉はなく、向かってくる車は上り坂なのでそこまでスピードを出しているわけではないということに気が付きました。事故のあと、現場の道路には減速を促す看板がつけられました。逆走を正当化するつもりはまったくないのですが、右側を走る理由があったのではと感じています」(父・智宏さん)

 

友さんが事故に遭った現場
友さんが事故に遭った現場

事故が起きた道路の右側は、空き家から伸びた草木で見通しが悪いカーブ。近隣住民から「危険のサイン」があった場所だったそうです。

 

「草木が横は車道に、上は電柱にまで伸びていて。見通しが悪くて危ないと何年も前から市には苦情が入っていたそうなんです。市の職員が、少し伐採はしていたようなのですが…。事故のあと、立入許可を経て、道路から空き家に向かって2〜3メートル先まですべて伐採され見通しがよくなりました。もっと早く対応してもらえたら状況は変わっていたのかもしれないと思うと、虚しさだけが残ります」(母・夏樹さん)

 

友さんが事故に遭った道路の横には白線があり、路側帯は70センチほど。畑に向かう高齢の方以外、ほとんど歩行者はいないそうですが、白線の内側の歩道には蓋がされていない側溝が多く、友さんは事故の衝撃で側溝に転落したそうです。

 

関東交通犯罪遺族の会「あいの会」の小沢樹里代表によりますと、都市部と違って地方では、自転車道の整備が十分とは言えず、車道においても車同士がすれ違うのがギリギリの幅のところも多く見受けられるといいます。

 

「大型車両の通行量も多いなかで、自転車利用者にとっては常に危険と隣り合わせの環境です。友さんの事故も、通っていた道路の安全が十分に確保されていない状況下で起きたものと考えています。個人の行動だけではなく、道路の環境整備から考え直す必要があると感じています」(小沢代表)