50代で結婚相手に出会えた理由

── とはいえ、相手にイライラすることや、ケンカすることもあるのでは?
板橋さん:私が暑がり、夫が寒がりなのでエアコンの温度設定で揉めることはしょっちゅうありますね。車で移動するときは車内を私好みの温度にするので、彼は厚着して耐えています(笑)。
そういえば以前に「私、メンタル強いみたい」と話したら、「あなたは鋼のメンタルだよね。周りを傷つけながらでも前に進んで行く」と夫に言われたことがあります。私としては自然体で結婚生活を送っているつもりですが、彼にしてみれば傷ついて疲れることもあるのかもしれません。
それでも、私に対して細かいことをうるさく言ってくるようなことはいっさいないので、そんな彼のおおらかさのおかげで上手くいっている気もします。
── 50代で結婚する人の割合は男女ともに1%未満、100人に1人もいないという極めて低い確率です。板橋さんが理想的なパートナーと出会えたのはどんな要因が大きいと思われますか。
板橋さん:これはあくまで私の考えですが、私の場合は自立できていたことが一番の理由だと思います。多分、私が自立していなかったら、結婚はできていなかったでしょうね。それは彼も同じで、50代以降の結婚となると、どちらかに「相手に依存したい」という思いがあると難しくなる気がします。
若い年代での結婚と、私のような50代での結婚の決定的な違いは、後者が「パートナーシップの構築」に重心が置かれるようになることだと私は思っています。一緒に子どもを育てるとか家庭を築くといったステージはもう通り過ぎているので、ただ純粋に対等なパートナーとして関係を築くことができる。そこが大人の結婚のいいところだと思うし、自分も多少なりともそのお手本になれたらなと思っています。
60代になった今、あらためて思いますが、結婚でも何でも始めるのに遅すぎることはありません。私の友人は53歳のときにご主人を亡くしましたが、その後にパティシエの免許を取ったり、宅建(宅地建物取引士)の資格に挑戦したりと精力的に人生を謳歌していますよ。
取材・文:阿部花恵 写真:板橋理恵