ずっと独身でいるつもりだったが

── 健康以外に生き方についても考えるきっかけになったとか。
板橋さん:この先どんな人生を過ごしていくか考えました。今まで仕事第一で過ごしてきましたし、退院後も仕事に大きな支障は出なかったと思います。でも、ふとしたときに仕事以外の時間も豊かに過ごしたい、もっと言えば、プライベートで喜びも悲しみも分かち合えるパートナーがいたらいいな、と思ったんです。
すぐに結婚を考えたわけではないですが、一緒にお茶を飲むとか、気軽に日常会話ができるパートナーがいたら、より人生が潤うと思ったんですね。
── 価値観が少し変わったと。
板橋さん:以前に比べて友人の結婚話や家族について、積極的に聞くようになりました。あるとき、離婚と再婚を経験した男性と話をする機会があって、離婚理由を聞いてみると、自分の母親と相性が合わなかったと言うんです。だから再婚するにあたっては「母親と仲良くできる女性」を条件に選んだそうです。その結果、現在は母親とも仲良しの奥さんと家族円満に暮らしていると聞きました。私もこの話を聞いて、あらかじめパートナーの条件を明確にしようと思って頭の中を整理しました。
── 今後の人生がより豊かになるように。
板橋さん:そうですね。ほかにも、乳がんの早期発見の大切さと啓蒙する「ピンクリボン活動」への協賛や、乳がん治療によって失われた乳輪・乳頭を「医療アートメイク」という技術で再現する手法の普及支援なども、会社として積極的に取り組んでいます。
病気を経験したことは精神的なダメージもありましたが、自分の価値観が変わり、生き方の視野が広がったことは確かです。
取材・文:阿部花恵 写真:板橋理恵