「明日死んじゃうかもしれない」歳になったからこそ
── 還暦を過ぎてから、やりたいことへの向き合い方が変わったそうですね。
香坂さん:還暦を迎える頃に離婚して、生活がいろいろと変わってから、「これからどうしようかな」「何がやりたいんだろう」と考えるようになったんです。そのときに思ったのが、「明日死んじゃうかもしれない」ような歳になったということでした。
友達と「またご飯行こうね」と言ったまま3年、4年会わないことってあるじゃないですか。でもその間に死んじゃうかもしれないんですよ。「だったら今すぐ動こう」と思って、会いたいと思った人には「で、いつ行く?」とその場でスケジュールを決めるようになりました。
── 歌の再開も、そうした気持ちから?
香坂さん:そうです。もともと歌が好きで歌手デビューしたのですが、家のことが忙しくなったり他の仕事をしたりして、いつの間にかフェードアウトしていました。鼻歌くらいしか歌わないまま30年が経ち、「60歳で歌なんか歌えるのかな」と不安もあったんですが、「やりたいと思った今がスタートだ」と思ったら踏み出せました。
── 歌を再開してからは順調でしたか?
香坂さん:今は配信の時代なので、昔のように「レコードが売れたらOK」というわけではありませんから、大変さを実感しているところです。もちろんプロの世界にいるので頑張りますが「仕事として続けていくのは難しい世界だな」と改めて感じています。
事務所から独立してマネージャーもいませんから、ライブハウスの選定から会場費の交渉、チケット販売、グッズ制作まで、ほぼ全部自分でやっています。大変さや責任はありますが、手伝ってくれる友達もいるので、自由を感じられるほうが嬉しいですね。