50代後半から書道を始めた香坂みゆきさん。教室では小学生と机を並べ、集中力は「40分が限界」。アラ還からの学び直しのリアルを実感しながらも、香坂さんは子育て時期に後回しにしてきた「誰のためでもない自分の時間」を今、謳歌しています。下手でも、笑われてもいい「私、できるじゃん」と自分を愛するための、新たな挑戦の舞台裏。

1時間半の教室でも、集中力は40分が限界

香坂みゆき
22年からフリーランスとして活動する香坂さん。マネージャーもいないため、現場への運転もすべて自分で

── 今年2月、書道で症状をもらったことをSNSで報告され、話題になりました。そもそも書道はいつから、どんなきっかけで始められたのでしょうか?

 

香坂さん:50代後半から始めて、7年ほどになります。冠婚葬祭で自分の名前を書く時に「ボールペンではなく、筆で書けるようになりたい」と思っていましたが、書道は小学生の時に習い事としてやっていた程度でした。あるとき、知り合いが書道教室を開くと聞いたので、それをきっかけに「またやってみようかな」と、45年ぶりに始めたんです。

 

── 大人専用の書道教室なのですか?

 

香坂さん:いえ。小学生から社会人まで、本当にいろんな年代の方がいらっしゃいます。教室では小学生と机を並べて一緒に練習することもあるのですが、横で「まめ(豆)」などと書いているのを見て、「上手ね~」と言いながら一緒にやっています。

 

この歳になって、こんなに何かに集中することはなかなかないありません。とはいえ、その集中力も今の歳では40分くらいが限度だと知りました。教室が1時間半あるんですが、だいたい40分ぐらい過ぎると先生が「みゆきさん、飽きてきたでしょう?」って(笑)。

 

── それでも7年間も習い続け、書展では入選も果たされました。賞状をもらったときは、どう感じましたか?

 

香坂さん:賞をいただけたときは「本当?」と思いましたが、大人になってから賞状をもらうことが少ないので嬉しかったですね。でもそれ以上に、書道をやっていることが楽しいんです。週に1回、通うのが楽しみで仕方ない。先生のお手本を見て書いても、決して同じようには書けません。だからこそ、練習を重ねて少しずつできるようになるのが嬉しいんですよね。

 

── 97年と02年にお子さんを出産され、子育てに邁進されていた時期もあったと思います。「やりたい」と思うことがあっても、家族のことが優先になって後回しになってしまうことはありませんでしたか?

 

香坂さん:ありましたね。家族のスケジュールに合わせて動くのが基本になっていると、「ご飯作らなきゃ」「送り迎えがある」「お風呂の時間だ」って、やろうと思ったことがどんどん後ろに押しやられていくんですよね。でも今はひとりなので、お腹が空かなかったらお昼ごはんを食べないでウクレレを練習していても、誰にも何にも言われない(笑)。自分のペースで動けるって、こんなに楽なんだと思いました。