「男性が好き」だと自覚した幼少期、名前のない孤独と戦っていた──。Instagramなどで日常を発信し人気の国際同性カップル、たっちゃんとニコぷさん。かつていじめや差別に苦しんだふたりが、海外での生活を経て手に入れた「オープンマインド」な生き方とは。家族へのカミングアウトを経て見えた景色を、等身大の言葉で語ってくれました。

出会いはマッチングアプリも「当日にドタキャン」

── おふたりは「たっチューバーチャンネル」として日伊国際同性カップルの日常を発信し、Instagramのフォロワーは9.5万人にのぼります。そもそも交際に至った経緯は?

 

たっちゃん:出会ったのは11年前。当時、私は大阪でバーをやっていたんです。彼は日本語学科の大学院生で、東京で暮らしていました。マッチングアプリを通じて知り合い、私が大阪から会いに行くことになったんです。ところが、当日にドタキャンされて。彼、約束していた日にアルバイトを入れていたんですよ(笑)。どうやらバイト初日で休めなかったようでした。

 

「どこでバイトしているの?」と聞いたらすんなり教えてくれたので、せっかく東京に来たし、ちょっとでも会いたいと思って。帰りの飛行機まで時間がなく、急いでバイト先に行ったら、イタリアンレストランで接客中の彼がちょうど見えたので、とっさに携帯で彼の写真を撮ったんです。

 

たっちゃん ニコぷ
今でも月に数日はデートするという

── なんと、隠し撮りを…!

 

たっちゃん:今思えばストーカーみたいなんですけど(笑)。そのまま会わずに大阪に戻って、翌日に彼にメールで「実はバイト先まで行ったんだよ」とその写真を送ったら、彼は「来てくれたの!? ありがとう」と喜んでくれて。ブロックされるかなと内心ドキドキしていたのですが。

 

ニコぷさん:忙しいなか、わざわざ来てくれたことに感激したんです。ドタキャンしちゃったのに、私のことを考えてくれてたんだと思うと嬉しくて。たしかに盗撮魔みたいですけどね。

 

たっちゃん:それがきっかけでメールのやりとりが増え、「もう一回会おうよ」と彼の誕生日にお台場でデートをすることになって。そこから交際が始まりました。

 

── ドラマチックな出会いだったんですね。現在はイタリアのラグジュアリーブランドで働いているニコぷさんですが、もともと日本に興味があったのでしょうか。

 

ニコぷさん:6、7歳のころから日本に興味があって。テクノロジーの国でありながら、自然や神道も大切にするというコントラストに魅力を感じていました。あと、アニメや漫画の影響が大きくて。テレビで放送されていた『セーラームーン』『ドラゴンボール』を見て育ったんです。中学のころには『犬夜叉』『NARUTO』『ONE PIECE』もブームになりました。

 

── 90年代、イタリアのテレビで日本のアニメが放送されていたとは驚きです。

 

ニコぷさん:大人気でしたよ。それで、どうしても漫画を学びたくて。高校卒業後、当時ヨーロッパで唯一のイタリアの漫画学校に両親に反対されながらも入学したんです。その後、日本の歴史や経済も学びたいとヴェネツィア大学で日本語学科を専攻し、日本の大学院に行きました。たっちゃんと出会ったのはそのころです。