「わが子の前では堂々と」障がいを「隠さない」と決めた理由

── 子育てでのジレンマを感じながら、周囲に対して、ご自身の障がいをどのように伝えていこうと考えていますか?

 

伊藤さん:正直「隠したい」と思う日もあります。でも、できるだけ子どもたちの前では、胸を張って「この姿がお母さんだよ」と堂々と振る舞うようにしています。私が隠そうとしていると、子どもたちにとっても「隠さなければいけないもの」になってしまうので。

 

幼稚園の進級のときには、子どもと同じクラスのお友だちや、そのお母さんがたに、「私には片腕がありません」とはっきり伝えるようにしています。子どもたちに障がいについて知っていてもらいたいのと、最初に公にしておくことで、「どう接したらいいかわからない」という溝を作りたくないという思いからです。

 

もちろん、すべてを受け入れてもらうことは難しいと理解しています。子どもの友だちが、私の障がいのことをからかってくることもあります。でも、隠さずに知ってもらった上で言われたことなら、ある程度は仕方がないのかなとも思っています。

 

── 片腕での子育てを通して、感じていることはありますか?

 

伊藤さん:できないことがあっても、そのなかでどう関わっていくかが大切だと実感しています。私は、ほかのお母さんと同じようにできないことが多いです。そして、できないことは、これからもなくなりません。でも、それらを受け止めて、「できない自分が生きやすい環境はどこか」を探し続けた結果、今につながったんだと思います。

 

事故直後の激しい落ち込みに比べたら、今はだいぶ前を向けるようになりました。ときには、周りからの視線を気にしてしまったり、何げないひと言に傷つく日もあります。それでも、子どもたちの前では、できるだけ笑顔でいたいと思っています。

 

できないことがあると、「どうすればできるか」と考えてしまいがちですが、私は「できななかでどう関わるか」を考えるようになりました。そのほうが、自分にとっても少し楽に続けられる気がしています。


取材・文:佐藤有香 写真:伊藤真波