「女性の敵は女性」という呪い。性別を超えた「真の自立」を目指して
── お子さんたちも立派に自立され、西崎さん自身も還暦を迎えられます。今後はどんなふうに歳を重ねたいですか?
西崎さん:片づけのビジネスは受講生たちと年齢も近い現役ママのスタッフたちにできるだけ任せ、私自身は社会に内在する「家庭の問題」をどうにかしたい。今はイクメン呪縛など、男性も苦しんでいる人が多いんです。
女性にも事情があり、だからこそ「女性の敵は女性」という状況が生まれてしまう。かつて私を非難した先輩も、何か問題を抱えていたのかもしれません。私は別にフェミニストになりたいわけではなく、男性も女性も頑張っている。だからこそ、両方の気持ちを「翻訳」できる存在になりたいんです。

── 実際、女性はもちろん、男性から相談されることも多いそうですね。
西崎さん:はい。男性からも家庭の問題の相談は驚くほど多いです。家事がうまく回らず生活に支障が出たり、社会で男性がやるのが「当たり前」と言われることも多く、「言われるほど苦しい」という声も聞きます。
育休にしても、妻の立場からすれば、普段家事をしない夫なら、家の中にいても気分がよくない場合もあります。夫の立場からすれば、家事をやりたくても何がどこにあるのか、段取りなどもわからない。
会社の制度を整える手前に、家庭内のコミュニケーションや社会の仕組みに問題がある。そこを整えれば、もっと誰もがラクに活躍できるはず。私自身が失敗から気づけた「家族の対話」を豊かにする機会をつくることで、社会づくりに一役買えたらと願っています。
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「もう遅い」「主婦のくせに」。誰かが勝手に決めた言葉に、自分の価値を決めさせてはいませんか。西崎さんが証明したのは、怒りも、後悔も、そして逃げられない親の介護や学費ですら、いつか「自分の力」に変えられるという事実です。
「女性の敵は、女性ではない」。そして、あなたの敵も、あなた自身ではありません。立派な目標なんて、すぐに見つからなくてもいい。今夜は洗い物をさっさと終わらせて、まずは自分の体をゆっくり休める。そんな小さな「自分へのやさしさ」から、あなたの明日は、ほんの少しずつ変わり始めるはずです。
取材・文:たかなしまき 写真:西崎彩智