「絶対に元夫の年収を超える」怒りをガソリンに変えて
── 離婚後、お仕事はどうされたのでしょうか。
西崎さん:ヨガスタジオの仕事は44歳から2年ほど続けて、正社員にならないかとお声がけもいただきました。でも、先の人生を考えたときに、ずっと好きだった「片づけ」を仕事にしたいと思ったんです。

起業前に再びママ友を家に呼ぶようになったのですが、そこでのやりとりが起業のヒントになりました。「離婚したんだよね」と告白したら、ママ友たちからも「実は私も家に帰るのがキツイ」という悩みを多く聞いたんです。本来安らぐはずの家が苦痛になる。その原因が「片づけられない心」にあると気づきました。
── 自分とママ友の経験に共通点があることに気づいたんですね。
西崎さん:そうです。「部屋を片づけたら心もスッキリする」ことは身をもってわかっていたので、このノウハウをビジネスにできないかなと考えました。専業主婦時代に友人とチームを組んで、片づけ代行をしていたことがあったのですが、起業を目指していたタイミングで、再び知人から家の片づけを依頼されるようになり、ひとりで始めてみようと思い立ったんです。最初は訪問型の片づけ講座から始め、事業を広げていきました。
── 2015年に起業したときの目標は「年収1000万円」だったそうですね。
西崎さん:はい。元夫の年収が約1000万円だったこともあり、絶対に超えようと目標にしました。ありがたいことに、2019年には目標を大きく超え、会社も法人化。法人化する前に起業塾で知り合った男性と再婚したのですが、そこには頼らず、子どもたちの学費はすべて自分で払いきりました。
昔、元夫が20年間専業主婦だった私に言い放った、「今度は君が何とかして」への反発心もそうとう大きかったと思います。今さらながら、「私って、こんなに負けん気が強かったんだ」って思いますね(笑)。
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20年間専業主婦だった自分に「今度はお前が稼ぐ番」と言い放った夫。その言葉に対する怒りと反発心が起業家としての素地を作ったといえるかもしれません。
ともすれば意気消沈しかねない言葉の刃を、力に変えた西崎さんの人間力。同じ言葉を投げかけられたとき、あなたならどんなふうに感じ、どう行動するでしょうか。
取材・文:たかなしまき 写真:西崎彩智