「一生ローンに縛られるのか」。物価高や家賃高騰が続く今、住まいは安心ではなく「重荷」になっていないでしょうか。電動工具すら触ったことがない「DIY未経験」から、「動く家」を自作し、7畳で夫婦暮らしを営む相馬由季さん。常識を捨て、あえて極小空間を選んで見えた「縛られない自由」と安堵の形を追います。
「不器用な私」が、2年かけて家を建てた理由

── 最近は賃貸の家賃高騰が話題ですが、相馬さんは「タイニーハウス」(極小住宅)を自作し、夫婦で暮らして6年になるそうですね。そもそもタイニーハウスはアメリカ発祥でリーマンショックを機に広がったそうですが、どんな家なのでしょうか?
相馬さん:明確な定義はないですが、主に10~25平米前後の小さな家を指し、基礎付きのタイプ(一般の住宅と同じように土地に定着するもの)と、移動できるタイプ(シャーシという車台の上に建てられたもの)があります。私は後者の移動式で、7畳の家に住んでいます。
── タイニーハウスはどんなきっかけで知ったのですか?
相馬さん:2014年ごろに読んだ記事で、アメリカ人が自作でタイニーハウスを作り、各地を移動しながら暮らしていると知りました。「家を建てても自由に動ける気軽さ」に惹かれました。同時に「家=一生その場所に縛られるもの」という思い込みが外れたんです。
── とはいえ、家を自作となるとハードルが高そうです。
相馬さん:DIYの経験もなく不器用な私ですが、ワークショップに半年通って、基本的な道具の使い方を学びました。図面も国内にはなかったので、海外のものを参考に、知人の設計士さんにアドバイスをもらって自分で引きました。電動工具も怖くて毎回ビクビクしていましたが、地味な作業をコツコツ2年続けました。屋根や水回り、資格が必要な電気工事はプロにお願いしましたが、それ以外はほぼ一人で作りました。
35年ローンを組んで大きな家を建てるというプレッシャーがないぶん、精神的なゆとりは大きいですね。不具合があっても構造を知っているから自分で直せますし、手狭になれば、もう1台作ればいい。その身軽さが私には合っていました。