直木賞を受賞し、作家やタレントとして時代を謳歌してきた志茂田景樹さん。その波乱万丈な歩みの傍らには、常に妻・光子さんの存在がありました。実は結婚後、10年間にわたって家族のもとを離れ、不義理を重ねた時期があったといいます。それでも光子さんはひと言の愚痴もこぼさず、家庭を守り抜きました。「僕は妻の手のひらから落ちないように、必死に踊り続けてきたんです」。要介護5となった今、ようやく辿り着いた「かなわない愛」の正体とは。

「私とあなたは、2人で1つ」 献身的な妻の揶揄に

志茂田景樹
現在もトレードマークの髪色にこだわりを持ち続けている志茂田さん

── 志茂田さんはかつて10年ほど別居されていた時期があったそうですね。

 

志茂田さん:直木賞を受賞して飲み歩く日々が始まり、その後10年ほど家族のもとを離れました。妻には本当に迷惑をかけてしまいました。息子が2人いましたが、妻は子どもたちに僕の悪口や愚痴をひと言も言わず、離婚を切り出すこともなく、2人をしっかり育て上げてくれました。妻がいなかったら、うちはバラバラになっていたと思います。今でも、妻には頭が上がりません。

 

── 現在は、その奥さんが生活を支えていらっしゃる。

 

志茂田さん:リウマチを患ってから今は要介護5となり、生活のほとんどで介護士などのプロの手を借りていますが、ヘルパーさんがいない時間や、細かな介助はすべて妻が献身的に助けてくれます。食事も仕事も、妻の助けなしには成り立ちません。先日、妻が冗談めかして「私とあなたは、2人で1つのようなものだね」と言っていました。何もできない僕を揶揄した言葉だったのでしょうが、僕は「なるほど」と納得し、同時に「ありがとう」と思いました。