「私が目を離したら…」追い詰めた責任感
── なぜ、そこまで自分を追い込んでしまったのだと思いますか。
今泉さん:産後のメンタルもあったと思いますが、当時は「自分が目を離したら子どもが危険な目に遭ってしまう」という心配で。家族以外の方に預けて万が一のことがあったら、いなくなっちゃったらどうしようと不安で。関係性がしっかり築けていない方に預けて何か起きてしまった場合、たとえわざとではなくても、私はその人を責めてしまうかもしれないと思ったんです。だから、幼稚園に入るまでは何があっても自分でみようと。
── 「しっかりしなきゃ」という思いが強かったのですね。
今泉さん:妊娠中は「自分が無事に子育てをできるのか」という不安で涙が止まらないことがありましたし、産後も不安定になることがありました。子どもが泣いても、まだ話せなかったころは「母親である私が子どもの要求をすべて読み取らなきゃ」と自分でプレッシャーをかけていました。
記者の方が外にいて、買い物に行くのも子どもを連れて行くのも不安で…。でも、私の思いとは裏腹に、手作りした離乳食は食べてくれず悩んで。私とばかりいたら同世代の友達を作ってあげられないと焦り、頑張って児童館へ連れて行くなど、毎日必死でした。でも児童館や公園で会うママさんとは、2回目会えることがなくて。連絡先を交換したいと言っても引かれちゃうかなとか、ママ友ってどうやって作るんだろうと思っていました。

── 責任感が強いんですね。それだけで十分、素敵なお母さんだと思います。引退前よりスリムになったのは、その時期の影響ですか。
今泉さん:そうですね。昔は太りやすく、体重も安定しないタイプで。妊娠中に16キロ太って助産師さんから叱られて。でも、ひとりで子どもを育てていくようになってから体重が急に落ちました。芸能界から離れて子育てに専念して、真夏の暑さの中、毎日何キロもベビーカーを押して歩き回っていたからという理由もあったと思います。引退前より6キロ減りました。ようやくここ2年は落ち着いてきました。
── 育児に一生懸命な様子がものすごく伝わってきました。子どものためにとはいえ、そこまでひとりで頑張ってきた理由はなんだと思いますか。
今泉さん:シングルマザーだからこそ、という思いがあるのは大きいと思います。少しでも美味しいご飯を食べさせたいとか、楽しい毎日を過ごしてほしいという思いが生まれているのも、私がひとりで育てているからじゃないかなって。
子どもは、うちの家庭の状況についてまだよくわかっていないと思うんです。会いたいと言ったら父親に会わせていますし、単身赴任中のお父さんみたいな感じで思っているのかなって。でも「父親がいないから私がひとりで頑張らなきゃいけない」という思いは、自分の中にずっとありますね。
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「自分がしっかりしなきゃ」。そんな強い責任感から、誰にも頼れず、自分を追い詰めてしまった経験はありませんか?おむつを替えながら、必死に仕事の電話に向き合う。今泉さんが直面した限界は、形を変えて私たちの日常のすぐ隣にも存在しているはずです。もし、あなたの周りに「ひとりで背負いすぎている人」がいたら、どんなことができれば少しだけ心が軽くなると思いますか。
取材・文:内橋明日香 撮影:岡利恵子 写真:今泉佑唯