告知はプロポーズ直後だった 

うーたん
治療の中で抱える辛さ、不安についても率直な言葉で語っている

── 告知の2日前には、恋人の方からプロポーズを受けていたと伺いました。

 

うーたんさん:そうなんです。長年つき合っていた彼がいて、病気がわかる前から「大学4年生のときにプロポーズをしようと思っている」と言われていました。おそらく彼としては大学卒業くらいのタイミングを考えていたと思うんですが、夏ごろに私の病気がわかり、手術で顔が変わってしまうかもということになってしまって。それで、彼は「顔が変わったあとよりも、これまでの顔でプロポーズの写真を残したいだろう」と私の気持ちを考えてくれて、手術の前にプロポーズしてくれたんです。

 

── 彼としても、手術もふたりで乗り越えていく覚悟だったのですね。

 

うーたんさん:たとえ手術で顔が変わったとしても、リハビリを頑張って、結婚して子育てをして…と、ふたりで新生活への想像を膨らませていたんです。顔のことも心配だったけれど「前を向いていくぞ」とポジティブな気持ちになっていたときに肺の転移の話を聞いたので、彼への申し訳なさでいっぱいでした。

 

若いうちから婚約をするって、彼の方でも相当な覚悟が必要だったと思うんです。そんな彼の気持ちを考えると、私の人生に巻き込んで彼をどん底に落としてしまったと思いました。

 

── うーたんさん自身もつらいのに、大事な人に話さなくてはいけなくて苦しかったと思います。

 

うーたんさん:もともと告知された日の夕方にカフェで会う予定だったのですが、いざ会ってもなかなか言い出せませんでした。カフェを出てからもずっと言えずにいたら、彼もなにかただごとではないと感じたようで、人通りの少ないところで「どうしたの?」と聞かれて。それでやっとがんであることや肺への転移について説明しました。話しながら私も彼も涙が止まらず、ふたりで号泣しました。

 

自分でもまだ受け止めきれていませんでしたが、病気になったことはしょうがないと思うしかないし、そのことを彼に押しつけたくないと思っていたので、彼には「婚約して2日しか経っていないからすぐに考えられないとは思うけれど、どうするかはあなたの気持ちを尊重したい」と伝えました。

 

── 彼も驚いたでしょうね。

 

うーたんさん:彼も私と同じで、事実として理解はできるけれども感情は追いついていなかったと思います。それでも「俺はそんなんじゃ気持ちは変わらないから。今後も一緒に頑張っていくつもりだよ」とすぐに言ってくれて…。すごくありがたかったです。その足で、彼の両親にも会いに行って状況を説明しました。自分の口から伝えることで誠意を伝えたくて。ご両親も驚きながらも状況を理解し、まず頑張ろうと話してくださいました。

 

それからしばらくして耳下腺の手術を受け、現在も転移した胸の腫瘍には抗がん剤の投与を続けています。彼は、今も私が入院するときは面会に来てくれて「簡単なことではないけれど変わらず一緒に頑張っていこう」というスタンスで支えてもらっています。

 

── 告知から約1年半、現在も治療を続けているなかで、Youtubeで闘病の様子を発信していらっしゃいます。うーたんさんがみなさんにいちばん伝えたいことはなんですか?

 

うーたんさん:私のように発見が遅くなる人を減らしたくて、違和感があったらとにかく病院に行ってくださいと呼びかけています。また「病院に行って診断がついたし、もらった薬を飲んでおけば大丈夫」とは思わず、症状が改善しない場合には違う病院に行くなど対処をして、体の違和感を見逃さないようにして欲しいです。

 

 

みなさんも、人生のなかで「大切な人の幸せ」をいちばんに願い、自分自身のあり方を深く考えた瞬間はありますか。今、あなたの大切な人に伝えたい想いなどがあれば、ぜひ温かい言葉で聞かせてください。

 

取材・文:阿部祐子 写真:うーたん