相方の結婚「いいなと思うけれど」…33歳の本音は

── 最近は、失敗や人との相違を恐れて他者と深く関われない若者も多いようですが、前田さんにもそういった面が少しあるのかもしれません。なかには、タイパ至上主義的な考えも相まって「めんどうそうだから結婚はしたくない」という人も増えていると聞きます。前田さんはご結婚についてはいかがですか?

 

前田さん:相方の高岸はもう結婚もして、子どもも生まれていて、見ていると「結婚っていいな」とは思うんです。僕は父親が23歳のときの子で、もうとっくにその年はすぎているから、自分の結婚についてもいろいろ思ったりもしますし。でも、僕の場合は、まずは自分が自分自身を幸せにすることが先かなと。そのほうが相手の方にも気持ちに余裕をもってやさしくできるし、相手の人生を背負ってともに生きる覚悟ができるような気がするんです。

 

── 夫婦はもともと他人同士っていいますよね。だからこそ、前田さんのように、お互いが幸せな気持ちを長続きさせるためにも、まず自分で自分を幸せにすることも大事なのかなと思いました。

 

前田さん:他人同士で一緒に生活することって、我慢する側面がどうしても出てくると思います。でも、我慢が出る部分を相手に望みすぎると、どうしてもうまくいかなかったときに、自分が我慢をしすぎてしまって悪循環につながったりすることもあるんじゃないかなと思っていて。

 

もちろん我慢はゼロにはならないと思うんですけど、今の自分の状態を考えると、好きな人がいて結婚したとしても、自分から望んで結婚しておいてすごく文句を言いそうな気がしてて…(苦笑)。だから、まずは自分で自分を幸せにしたいですね。

 

なかでも文章を書いているときは特に、自分のための落ち着いた時間を過ごせていると感じられるんです。「書く時間」をしっかり確保することで、きっともっと自分を幸せにできる。その先に、誰かとともに生きる未来もあるのかなって思ったりします。

 

 

相手に「わかってほしい」と強く願うほど、少しのズレが苦しくなる。前田さんが語る「まずは自分を幸せにする」という覚悟は、相手の人生を背負うための、彼なりの誠実な準備期間なのかもしれません。あなたは今、誰かを幸せにすることに必死になりすぎていませんか? 相手を愛するための「心の余白」を作るために、今日は自分自身をどんな風に喜ばせてあげたいですか?

 

取材・文:たかなしまき 写真:前田裕太