「人間らしさ」を取り戻した旅での気づき
── 休養中はフィンランドも訪れたそうですね。フィンランドを選んだのは、幸福度ランキング1位という調査結果を見たからだったとか。
前田さん:そうなんです。フィンランドの人たちの暮らしを肌で感じて、日々の暮らしの営みにていねいに向き合うことがいかに大切かに気づかされました。言ってしまえば、いまの競争社会って、特にSNSでは競争原理に火をつけるような、今の自分じゃダメだと思わせるような、自分よりも上があるというその上限を見せてくるような構造になっている気がしていて。それに普段からさらされていると、どうしても影響を受けてしまうという実感があります。
ただ、そこから完全に身を引くことはたぶん難しい。たとえば、会社に属している場合、仕事上で競走にさらされることはありますよね。それでも、自分の人としての営みの基本は大切だということは忘れちゃいけない。それをフィンランドでの滞在ですごく感じました。
といっても、僕の幸せの基準を満たしてくれる幸せって何なのか、どうすれば豊かに心を満たして暮らせるのか、学校では全然教えてもらえなかったような気がしているんです。高校まで続けた野球でも、甲子園出場を大きな目標に努力することは教わったけれど、楽しく豊かに生きるための方法は何もわからないまま社会に出てしまったように思っていて。自己肯定感って、基本的に他者との比較から生まれるものじゃないですか。本当は他人がどう思うかなんて関係なくて、生き物としての僕にとっての幸せが満たせるかどうかだと思う。でも、僕はそれがずっとわかっていなくて、こうすれば自分は幸せ、っていう思いを日常的に満たしてきた経験が、もしかしたら人よりも少ないのかもしれません。
