子どもたちと再会を果たし、ともに研究に励む今
—— その後、ご家族との関係はどうなったのでしょうか?
吉村さん:元妻と交流がなくなったわけではないですし、子どもたちとも再会を果たしました。離婚後、数年経ったあるとき、ふたりの子どもが日本の私を訪ねてきたんです。「あなたは、パパですか?」とね。
子育てには関わらず、ほとんど家にもいなかったんで、子どもたちからしても、父親の顔なんてはっきりわからないわけです。にもかかわらず、エジプトからわざわざ日本にまで訪ねてきてくれた。大きくなった子どもたちと再会できて、うれしかったですよ。現在、息子と娘は私のエジプト考古学研究を助けてくれています。
—— おふたりとも吉村さんの研究に関わっておられるとのこと。どんな形でサポートされているのですか?
吉村さん:息子は私のマネージャーとして共にエジプトの現場で働き、娘は修復師として現場で指揮をとっています。息子はもともとヨーロッパでタクシー運転手をしていました。その後、紆余曲折を経て、私のマネージャーを任されるようになったんです。エジプト政府との発掘権の交渉など、現地の調整役として力を発揮してくれています。
娘はエジプトで女優をしていました。アラビア語、日本語、英語、フランス語の4か国語を話せるため、複雑な家庭の役柄を演じるのが得意だったんです。ところが、エジプトで革命が起こり、映画を制作できなくなって失業。50歳から大学に通い修復学を学び、修士号もとったんです。いまは「第二の太陽の船」の修復に関わっています。ふたりの子どものサポートを受けながら、エジプト考古学研究に没頭できるいまは、幸せな日々ですね。
取材・文:百瀬康司 写真:吉村作治