まだ言葉が詰まるなかで「M-1に出たい!」

千葉ゴウ
2回目の入院でリハビリの休憩中

── 緊急搬送された当時よりも、だいぶ回復されたことが伺えます。今はどんなバイトをしているのですか?

 

千葉さん:午前中は清掃のバイトです。またバイトに戻ると思わなかったんですが、言語の後遺症があるので、芸人としてすぐに復帰するのは厳しいと思って。退院してからいくつかバイトの面接を受けました。でも、あるバイトの面接では、「面接時間は10分くらい」って言われていたのに、面接の冒頭で「病気の影響で言葉が出にくい」って話したら1分くらいで終わっちゃったことがあって。いくつか受けたなかで、採用してくれた今の職場で働いています。

 

午後はリハビリとして、図書館で借りてきた児童書を読んで、声を出す練習をしています。でも、最近は調子がよくなってきたので、ネタも考えるようになってきました。

 

── ネタと言えば、2025年はお笑いコンビ「入間国際宣言」としてM-1の予選に出場し、3回戦まで進みました。8月に退院して10月の予選まで、あまり時間がなかったと思います。このタイミングでM-1に出ようと思ったのは、何か理由があったのでしょうか?

 

千葉さん:退院して今後の方向性について、相方やマネージャーたちと話をしているときにM-1の話が出たんです。みんなは来年でいいんじゃないかって雰囲気だったけど、「僕は出たいです!」ってハッキリ言って、マネージャーにエントリーをお願いしました。

 

今も言語のリハビリに週1回通院しているのですが、それでも言葉がうまく出なくて詰まることがしょっちゅう。そんな状態で漫才なんて難しいのはわかっているんです。だけど、「失語症の僕でもやれることはあるぞ!」って周囲に見せたかったんですよね。同じ病気になっている人の希望になればいいなとも思ったし。来年って言われても今できることをしたかったんですよ。

 

── M-1では3回戦まで進みましたが、ネタを覚えるのは大変だったそうですね。

 

千葉さん:2024年に作ったネタを披露することになったんですけど、病気の影響で内容を完全に忘れていました。覚えようにもネタが全然、頭に入ってこなくて。「なんだっけ?」って言いながら、100回くらい相方とネタ合わせをしたんじゃないかな。

 

1回戦のネタは練習でも10回中3回ほどしかうまくできなかったネタを披露することになったので、不安はありましたが、どうにか通過することができました。過去には準々決勝まで進出したことがあり、今回もそれを目指したんですが、残念ながら3回戦敗退。悔しいですね。でも、M-1に出るからみんな立場は一緒だと思います。病気を言い訳にせず、来年もまた挑戦したいですね。

 

── 来年のM-1、楽しみにしています。それ以外では今後、どんな活動をしていきたいと思っていますか?

 

千葉さん:お笑いライブは続けたいです。いっぽうで、病気の経験を講演会やこうしたインタビューで話したり、本を出したりしたいですね。何か伝えられることがあるんじゃないかって思うので。今も1、2時間話したり、頭を使う作業をしたりすると人より疲労感が強く出てしまいます。医師からはハードな運動も控えるように言われていて。この先もリハビリはまだまだ続きます。でも、気持ちの面では自分はもう十分休んだって思っているので、やれることを、やっていきたいですね。

 

取材・文:松永怜 写真:千葉ゴウ