「『どこで誰と何をして』。そうやって言葉を繋いで話すことが今の僕には難しいんですよね」。2022年のM-1グランプリでは準々決勝進出も果たし、舞台を沸かせてきたお笑いコンビ、入間国際宣言の千葉ゴウさん。そんな彼を襲ったのは突然の脳梗塞、そして「失語症」という残酷な後遺症でした。「言語能力は、今も20%くらい」。言葉を商売道具にする者にとっては厳しい現実のなかで、千葉さんはなぜM-1出場を決めたのか ──。言葉が詰まりながらも、笑いを届けようとする芸人魂の現在地を伺いました。
脳梗塞を発症する1週間前から予兆はあった

── 高い身体能力を活かし、野田クリスタルさんのスポーツジムでインストラクターを務めるなど、アクティブに活躍していたお笑い芸人の千葉さんですが、2025年1月に脳梗塞を発症し、緊急搬送されます。当時の状況を改めて伺えますか。
千葉さん:発症する1週間くらい前から、ライブでも「言葉が出づらいな」みたいな感じがなんとなくあったんですよね。脳梗塞を発症した日は友達とふたりで東京・阿佐ヶ谷のサウナに行って、2セット入った後に外気浴で休憩していたんです。2セット目のときに頭が「ワァ〜ン」とするような感じはあったんですけど、外に出れば落ち着くだろうと。でも、3回目に入ったときにさらに頭がボーッとして、「これはおかしい」と思い、僕だけ先に外に出ることにしたんです。服を着て、サウナを出て自転車でコンビニに行こうとしていたら、後から追いついた友達に「更衣室に財布とカギ、忘れてるよ」って言われて。
── すぐに取りに戻ったんですね。
千葉さん:いや、それがなぜか「まあいいや、後で取りにいこう」と思って、先にコンビニに行ったんです。そして、コンビニを出たあとに突然「バターン!」と倒れてしまって。
ここからは後から聞いた話になりますが、救急車で病院のICU(集中治療室)にすぐに運ばれ、緊急手術を受けました。手術から数時間後に意識が戻ったときには右半身が硬くて動きにくくなっていたうえ、うまくしゃべれなくなっていて。「痛いですか?」って医師に聞かれても「あー」「うー」としか答えられない状態だったんです。
── 病院には千葉さんのお母さんとお兄さんも駆けつけたそうですね。医師からどんな説明をされたのでしょうか。
千葉さん:「正常な人が100%話せているとしたら、この先、頑張っても70%程度の回復になるかもしれない」と言われました。残った部分で頑張るしかない。今も全体の20%くらいしか戻ってないような気がするんですけど、どうなんだろう。