亡き夫との日々を穏やかに、そして、その日々が幸福だったことを噛み締めるように、インタビューに応えてくれたイルカさん。夫と歩んだ二人三脚の時間は色褪せない、愛おしさに溢れていました。
仕事が順調な中で夫がパーキンソン病に
── シンガーソングライターとして1974年にソロデビューし、『なごり雪』などのヒット曲で知られるイルカさん。その活動を長年支えてきたのが、夫で音楽プロデューサーの神部和夫さんでした。夫婦で音楽の道を歩み、仕事も順調だった30代半ば、神部さんの体調に異変があらわれたそうですが、どのような変化だったのでしょう。
イルカさん:最初に現れたのはメンタル面の不調でした。夫が30代半ばのころです。当時は、音楽プロデューサーとしての仕事に加えて、私の個人事務所・イルカオフィスの社長も務めていて、連日、明け方に帰るほど忙しい時期でした。仕事はすごく順調で、本人も「本当に幸せだ」とよく話していました。
そんななかで夫の様子が少しずつ変わり、「外に出るのが怖い」と言うようになり、家を一歩出ると冷や汗が止まらなくなることが増えていったんです。検査をしても原因がわからない日々が続き、その状況がさらに彼を追い詰めていきました。

その後、左手の薬指の痙攣が始まり、身体の動きにも小さな異変が出てきました。あちこちの病院を回っても原因はわからず、ようやく脳神経外科で「パーキンソン病」と診断されたのは、最初の異変から3年後、夫が39歳のときでした。「命に関わる病気ではないけれど、一生つき合う病気らしい」と落ち込む夫に、私は「だったら一緒にゆっくりつきあっていこうよ」と伝えました。ここから20年の闘病生活が始まりました。