若くて美人な歌手が人気を博した時代。しかも、フォークグループとして人気者だった夫と結婚したら、夫は裏方に回り、まさか自分がソロデビューするとは。歌い継がれる名曲『なごり雪』でブレイクしたイルカさんのデビュー秘話、公開です。

初恋の相手と結婚し、まさかの歌手デビュー

──『なごり雪』をはじめ、長く愛されてきた楽曲で知られるシンガーソングライターのイルカさん。いまも精力的にステージに立ち続けるその歩みを、公私ともに支え続けたのが、2007年に他界した夫・神部和夫さんでした。出会いは18歳のころ。イルカさんにとって、人生で初めておつき合いした初恋の相手だったそうですね。

 

イルカさん:そうなんです。所属していた女子美術大学のフォークソング同好会に、早稲田大学フォークソング倶楽部の部長だった彼がコーチとしてやってきたのが出会いでした。初めて目が合った瞬間、なぜか懐かしいような不思議な感覚があったんです。

 

彼はフォークグループ「シュリークス」のリーダーとしてすでにレコードデビューしていて、私たちからすればキラキラした存在。物腰はおっとりしていて、話し方も優しく、当時流行していたロン毛でジュリー(沢田研二さん)のような雰囲気があり、女子学生にも人気がありましたね。

 

イルカ
2025年のコンサート。こんなにデニムの似合う70代いる⁉

── この出会いが、イルカさんの人生を大きく動かしていきます。卒業後、シュリークスに加入し、翌年に結婚。1974年にソロとして歩みだすにあたり、神部さんはみずから表舞台を離れ、プロデュースとマネジメントに専念することに。当時、イルカさんはソロになることに強い抵抗があったとか。

 

イルカさん:嫌でしたね。泣いて抵抗しましたよ。もともと人前に出るのが得意じゃないし、ひとりでステージに立つなんて考えられなかった。彼がいなかったら、「イルカ」は存在していません。そもそもは、結婚を機に家庭に入って夫を支えようと思っていたところでしたから。

 

いっぽうで、もし彼に出会わず人生を歩んでいたら、今ごろはジャングルで野生生物の研究をしていたか、山奥で陶芸に打ち込んだり、絵を描くような、ひとりでなにかに打ち込むような生き方をしていたでしょうね。