否定的な意見が多いのかとは思っているけど

宮津航一
子ども食堂にて受付をしている様子

── 公表した後は、「ゆりかご」の当事者として活動や、全国で講演会を開いているそうですね。

 

宮津さん:当時は1回メディアで公表したら、自分の役割は終わると思っていたんです。「ゆりかご」について賛否両論あることはわかっているし、「育児放棄の助長」など、どちらかというと批判的な意見が多いのかなと思っています。実際、私は小学2年生のときに初めて自分の生い立ちがわかるまで、不安な気持ちがあったのもたしかです。

 

でも「ゆりかご」に預けられた当事者として、捨てられたという気持ちはまったくありません。「ゆりかご」のおかげで命が繋がり、助けてもらったという思いが強いんです。

 

たしかに、私は温かい里親の過程で育ち、宮津家の両親と養子縁組をし、恵まれた環境で育ててもらいました。その結果、「ゆりかご」に助けられたと思えているわけで、それが他の当事者にも当てはまるとは思いません。「ゆりかご」を出た一人ひとり、いろんな思いを抱えているはずです。

 

でも、「ゆりかご」出身者のひとりとして、私はどんなふうに育っていったのかを世の中に伝えていきたいし、自分だからこそ伝えらえることがあるんじゃないか、と思っています。

 

──  同じ「ゆりかご」出身者の方と会うことはありますか?

 

宮津さん:私が公表したことによって、私に会いにきてくださった方がいました。新たな繋がりが生まれたのはよかったなと思います。

 

また、生い立ちを公表したことによって、講演会に呼んでいただく機会もたくさんできました。講演会では「家族とは」といったテーマでよくお話をさせてもらっています。家族の形が多様化するなかで、戸籍や血の繋がりだけではなくて、それ以上に味方でいる存在が家族だと思うんです。