人とは違う生い立ちを過ごしたからこそ

── 宮津さんは高校3年生のときに、こども食堂の運営をスタートされていますね。現役高校生が子ども食堂を始めるのは珍しいと思いますが、これはどのような理由から始められたのでしょうか?

 

宮津さん:いちばん大きなきっかけとなったのは、福岡で5歳児の母親が、ママ友からマインドコントロールを受けて、男児に食事制限や虐待し、死亡させた事件を知ったことです。悲惨なニュースを聞いて、「なんでこんな状況になるまで防げなかったんだろう。普段から子どもと地域の人の繋がりがあれば未然に防げていたんじゃないか」と感じました。私は人とは違う生い立ちを過ごしたからこそ、子どものころから家族について考える時間が多かったんです。事件を受けて自分に何ができるか考えたときに、解決策のひとつとして子ども食堂を考えました。

 

もともと両親が社会貢献やボランティア活動をしている姿を見ていたのと、コロナ禍に入って、とくに子どもたちの居場所が少なくなっていると感じていたことも大きいです。

 

── 子ども食堂をはじめてみていかがでしたか?

 

宮津さん:手探りでのスタートでしたが、両親の知恵を借りたり、地域のみなさん、ボランティアの方々に意見をいただきながら進めていきました。おかげさまで参加人数が次第に増えていきました。

 

活動をはじめてみて思ったのは、子ども食堂って貧困のイメージがあるかもしれませんが、経済的な貧困ではなくて、心の貧困、心が満たされていない子が多いということです。だから、将来的には子ども食堂でなくても、地域のつながりやコミュニティ、子どもの居場所が増えればいいなと思っています。

 

── 宮津さんは現在大学4年生ですが、卒業したら企業には就職せずに、ご自身の活動や講演会を中心にしていくそうですね。

 

宮津さん:講演会の回数は年々増えてきて、2025年は70回でした。人とは少し異なる歩みを経験した自分だからこそ、伝えられることがあるのかなと思っています。講演会に来る方は企業や役所の方から里親家族、家族について悩んでいる方などさまざまです。家族の形はいろいろあると思いますが、血の繋がりだけがすべてではなく、里親家族、特別養子縁組で育つのもひとつの形だと伝えています。

 

取材・文/松永怜 写真提供/宮津航一