「しょうちゃん」と父は夫が大好きになって

── そんな日々のなかで、ブログのコメント以外にも「大きな支えになった存在」があったとか。

 

雅美さん:父の生きる気力になっていたのが、主人の存在なんです。じつは父は、主人の熱烈なファンで(笑)。テレビはもちろん、YouTubeなどもすべて録画してチェックするほどでした。

 

当時、主人が土曜日に生放送されるボートレースのテレビ番組でMCをしていたんですが、父はニックネームで番組の予想に参加していて(笑)。番組内で主人が「お、今日もお義父さんが参加してくれていますね!」なんて、触れてくれることがあると、もう大喜び。どんなに体調が悪くても、その時間だけはテレビの前でスタンバイしていたようです。

 

そもそも父はプロ野球に興味なんてなかったのに、主人が大の野球好きだから、それに影響されて急にプロ野球中継までみるようになって。もともと結婚前は「芸能人なんて本当に大丈夫か?」と心配していたのが嘘みたいに、初めて会った日に「すごくいい人だね」と褒めてくれ、以来、すっかり主人が大好きになっていました。

 

2人の孫を溺愛していた雅美さんの父

── 遠藤さんの存在が生きる活力になっていたのですね。お父さまは、最期まで遠藤(章造)さんのことを口にされていたと伺いました。

 

雅美さん: 亡くなる直前まで、「しょうちゃんは本当にいい人だ」と繰り返し言っていましたね。入院中も「しょうちゃんに会いたい、顔が見たい」とずっと願っていて。でも、病院の規則で血縁者以外は面会が難しかったんです。しかも、全身状態が悪くて退院もできない。それでも、「最後にどうしても会いたい」という父の願いを叶えたくて、先生にムリをお願いし、一時帰宅を許してもらいました。

 

主人は翌日、新潟ロケで早朝出発だったにもかかわらず、駆けつけてずっとそばにいてくれました。数時間というわずかな時間でしたが、父は涙を流して喜んでいました。この1年、私がひんぱんに実家に帰れたのも、主人が「会えるときにたくさん会ってあげな」と、いつも快く送り出してくれたおかげです。お葬式や告別式など仕事を調整してすべて参列してくれて。

 

父は看護師さんにも「うちの娘の旦那さんがね」と、いつも自慢していたそうです。主人の存在が、父の最期の日々を輝かせてくれたんだなと思うと、感謝してもしきれません。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/遠藤雅美