大病を患うと、他人がまばゆく見えたり、自分に怒りや絶望感が漂ったり。それまでの人格さえも失われてしまうケースだってあります。ココリコ・遠藤さんの妻、雅美さんの父もつらい闘病がありました。それでも、前を向けたのは、雅美さんが開設したブログのコメント欄と、夫の存在だったといいます。
見ず知らずの方のコメントが父の支えに
── お笑いコンビ・ココリコの遠藤章造さんの妻・雅美さん。今年、最愛の父親をがんで亡くされています。ブログでは闘病中の様子をつづられていましたが、ここ1年は、ご家族にとって本当に大変な日々だったそうですね。
雅美さん:父はがんになってからすっかり気持ちがふさぎこみ、引きこもりのような状態が続いていたんです。そんななかで父がもっとも楽しみにしていたのが、私のブログでした。とくにコメント欄に寄せられる父への応援メッセージを、何よりの励みにしていたようです。
私や母の言葉はなかなか届かないのに、ブログに寄せられるまったく知らない方からの「頑張ってください」「お孫さんと会えてよかったですね」といった言葉は、父の心に響いたみたいで。同じ病気の方が書いてくださるコメントには「自分だけじゃないんだ」と勇気づけられたようで、すごくありがたかったですね。

顔も名前も知らない誰かが、娘のブログを通して自分のことを応援してくれている。その見えないつながりが、父の生きる支えになっていたんです。温かいコメントをいただいた日は、父の表情も柔らかくなって散歩に出かけることさえありました。言葉の力が、これほど人を動かすんだなと、そばで見ていて感じました。