娘さんとの時間は主人にとって「元気の源」

── 子どもたちは、家族の関係を少しずつ理解していく時期でもありますよね。どんなふうに向き合われているのでしょう。

 

雅美さん:まだ、離婚という仕組みまではわかっていないと思いますが、「どうしてお姉ちゃんは一緒に住んでいないの?」「お姉ちゃんのママは僕たちのママじゃないんだよね?」などと、聞いてきます。いろいろと興味がわいてくる年齢ですし、理解できるようになってきたら話そうと夫婦で決めていたので、焦らず進めているところですね。

 

遠藤雅美
ケンカしてもその日のうちに仲直りをするのが夫婦のルール

── 長い年月のなかで、ご自身の気持ちが揺れる時期もあったのでしょうか。

 

雅美さん:そうですね…。とくに、2人の息子が赤ちゃんのころは、自分の育児で手いっぱいなうえ、娘さんへの配慮もあり、精神的にも時間的にも余裕がない時期がありました。けれど、主人にとって娘さんとの時間は本当に大切で、その日を励みに1週間頑張っているんだなと感じてもいました。いまの家庭も大事にしてくれていますが、娘さんとの時間は主人にとって、元気の源。そこを奪うのは絶対に違う、と次第に思うようになりました。

 

ただ、娘さんとの予定と息子の発熱が重なってしまって「この状態で行くの?」と思ったこともあります。でも、自分が母親になって、親にとって子どもとの約束がどれほど大切かを身に沁みてわかりました。だからこそ、主人が娘さんと過ごす時間を気持ちよく送り出すことが、家族にとっても意味のあることだと思うようになったんです。

家族の形に正解はないですが

── 娘さんとご主人の関係を見守るなかで、心がけてきたことはありますか。

 

雅美さん:娘さんがうちに来ていたころは、「パパと過ごす時間」を楽しみに来ているので、私は出しゃばりすぎないようにしていました。ムリに話しかけたり、かまったりせず、自然に過ごしてもらえる雰囲気を保つことを心がけていました。私の存在が負担になって、「(家に)行きづらい」と感じさせてしまったら本末転倒ですから。

 

最近は、成長した娘さんと落ち着いた大人の会話ができるようになってきたことが、主人にとって本当にうれしいようです。嬉しそうに話す様子を見ていると、私も心が温かくなります。家族の形に正解はないですが、いろんな関係が折り重なっていまの私たちがあるのだと思います。

 

 

遠藤さんの娘さんとの関係を大切にしながら、2人の息子の育児にも向き合ってきた雅美さん。複数の家族関係が重なる環境でも、そのときどきの状況に合わせてムリのない距離感を探りながら生活を続けてきました。そんな日々を過ごすなか、今年、最愛の父をがんで亡くしています。闘病中、孫や夫、そしてブログ読者から届いた応援のコメントが大きな支えになっていたと明かしてくれました。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/遠藤雅美