婚姻届を出す直前に言われた驚きの言葉
── それでも「この人と」と一緒になろうと結婚に踏みきられたのは、遠藤さんのどんなところに惹かれたのでしょうか?
雅美さん:いちばんはやっぱり優しいところですかね。一緒にいて楽しいですし、とにかく大切にしてくれます。ただ、優しいといっても、サプライズや記念日に何かをして喜ばせるという発想はいっさいなくて(笑)。自分の誕生日なのに、私が自分でケーキを取りに行って、それを一緒に食べる、みたいな。ロマンチックな展開とは無縁ですが(笑)。私はむしろそういう「ふつうさ」が心地よいタイプなので、それで十分だと思っています。ずっと変わらない優しさと温かさがじんわりと続くような感じです。

── そして、いよいよ結婚を決めたときのこと。遠藤さんから思わず耳を疑うひとことがあったそうですね。
雅美さん:婚姻届を書いてハンコを押す直前のことです。「もしも、だけど、綾瀬はるかちゃんや北川景子ちゃんに『ご飯行きませんか』って誘われたら、さすがにそれは行っていいよね?」って、言ってきたんです。一瞬、「えっ…?いまなんて言った?」と。でも、冷静に考えたら、仮にそんな素敵な女優さんに誘われたら抗えない気持ちもわかるな、と。だから、「それは…いいか」と。
── いいんですか!? 婚姻届を出すときなんて、いちばん気持ちが高まるような場面ですよ?
雅美さん:でも、それくらいドーンと構えていられるくらい器を大きくしておかないと、やっていけないんだろうなと思ったんですよね。たとえばですけど、芸能界にはすごくキレイな人がたくさんいるし、食事会などおつき合いの場も多い。向こうから誘われることがゼロとは言いきれないと思うんです。別に彼が現実に浮気をするとは思っていませんが、それくらいのおおらかな気持ちでいないと、私自身、気にしすぎて疲れてしまうだろうなと。もしかしたら彼も、私の「覚悟」を最後に確認したかったのかもしれません。
── そんな踏み絵、いらなくないですか(笑)。
雅美さん:だからといって浮気を許容しているわけではないですよ(笑)。もちろん、そのときの発言が本気じゃないのもわかっていますし、あのひと言は「芸人と結婚するって、こういう世界だよ」という彼なりの「洗礼」を示したかっただけかもしれません。おかげで、多少のゴシップや噂にはいちいち振り回されないでいよう、という心構えができた気がします。
…
最初は断っていた遠藤さんからの誘い。いつしか惹かれ、芸能人と結婚するリスクにとまどいながらも、「この人と生きていきたい」と腹をくくった雅美さん。いまは芸人の妻として、2児のママとして育児に奮闘する日々を送っています。また、夫が前妻のお子さんと過ごす時間もそっと見守っています。そこには雅美さんなりの思いがあったと明かしてくれました。
取材・文/西尾英子 写真提供/遠藤雅美